子供にピアノを習わせるメリットとデメリット

「ピアノは習い事の王道」と言われるほど、昔から人気がありますよね。
お子さんにピアノを習わせることで得られる効果はたくさんありますが、同時に注意しておきたい点もあります。今回は、現役ピアノ講師の私が、実際に生徒さんや保護者さんから見聞きしてきたリアルなメリットとデメリットをお伝えします。これから習わせようか迷っている方は、ぜひ参考にしてくださいね。

これからお子様にピアノをお考えの方の参考にして下さい。
メリット① 音楽的感性が豊かになる
ピアノは「音を聴く耳」と「表現する心」を同時に育てます。小さなうちから音楽に触れることで、音程やリズムの感覚が自然と身につきます。感情を音で表す経験は、自己表現の幅を広げ、感性を豊かにします。
音の違いに気づく耳が育つ
ピアノのレッスンを続けることで、子どもたちは高い音と低い音の違いだけでなく、強い音や弱い音、そして響きの微妙なニュアンスにも自然と気づくようになります。これらの音の細かな違いを聞き分ける力は、音楽の上達に欠かせないだけでなく、日常生活におけるさまざまな音への感受性も高めてくれます。例えば、家族や友達の声のトーンや話し方の変化から感情を読み取ったり、風が木々を揺らす音や鳥のさえずりの美しさを感じたりすることができるのも、この「耳を育てる」ことが大きく関係しています。こうした繊細な聴覚の発達は、コミュニケーション能力の向上にもつながり、相手の気持ちを察する力や共感力を養う土台となります。音楽の世界だけでなく、人との関わりや生活の質を豊かにする大切な力を育てるのです。


感情を音で表現できるようになる
音楽は言葉を使わずにさまざまな感情を伝えることができる特別な手段です。ピアノを習うことで、子どもは自分の中にある喜びや悲しみ、緊張、安らぎなどの気持ちを音にのせて表現する経験を少しずつ積み重ねていきます。例えば、元気で明るい曲を弾くときには自然と笑顔がこぼれたり、しっとりとした静かな曲では心を落ち着けることができたりします。演奏する過程で感情の変化を感じ取り、それを音に反映させることで、自分の気持ちを理解し、コントロールする力が育つのです。こうした感情表現のトレーニングは、音楽だけにとどまらず、日常生活における感情の伝え方や自己表現力にも良い影響を与え、言葉で伝えにくい気持ちを音で伝えるという貴重な経験となります。
想像力が豊かになる
ピアノの曲には、しばしば物語や自然の風景、季節の移り変わりといったさまざまなイメージが込められています。子どもたちはその曲を演奏するとき、作曲者の想いを感じ取りながら、頭の中で物語や情景を思い浮かべて音を奏でます。このプロセスを通じて、音楽をただの音の連なりとしてではなく、一つの世界として想像し創造する力が自然に育っていきます。例えば、「雨のしずくが落ちる様子を感じる」「森の中を散歩している気持ちになる」など、心の中で情景を描きながら演奏することで、想像力や表現力の基礎がしっかりと築かれます。このように音楽と想像力が結びつくことで、絵を描いたり物語を書いたりする創作活動にも好影響を与え、学習全般や他の芸術分野においても豊かな発想力をもたらします。
美しいものを感じ取る心が育つ
美しいメロディーや調和のとれた響きに触れることは、子どもたちの心に「美しさ」や「調和」といった感覚を育てます。ピアノの演奏で複数の音が重なり合い、心地よいハーモニーを作り出す経験は、自然の風景や絵画、さらには日常生活の中にある小さな美しい瞬間に目を向ける力を育てることにつながります。例えば、花の色や形の繊細さに感動したり、夕焼けの空の美しいグラデーションに心を動かされたりするのは、この感性が成長している証拠です。こうした美を感じ取る力は、人生を豊かに彩る一生の財産となり、感情豊かで思いやりのある大人へと成長するための大切な基盤となります。音楽を通じて培われたこの感性は、子どもたちが多様な価値観を理解し、心の豊かさを育む助けとなるのです。フォームの始まり
ピアノを習うことで育つ「音楽的感性」は、単に音楽を楽しむ力だけでなく、日々の生活や人との関わりにも豊かな彩りをもたらします。耳で感じ取り、心で表現し、想像力を広げて美しさを感じる力は、一生の宝物となります。
メリット② 集中力・継続力が育つ
ピアノを続ける中で、子どもたちは自然と「集中する力」や「続ける力」を身につけていきます。小さな成功体験を積み重ねることで、努力する喜びを知り、あきらめずに挑戦し続ける心が育つのです。ここでは、ピアノがどのように集中力や継続力を育てるのか、そのポイントをご紹介します。
ひとつのことにじっくり向き合う力がつく
ピアノのレッスンや練習は、一曲の曲を完成させるために何度も繰り返し取り組む必要があります。この繰り返しの中で、子どもは短時間でも集中して鍵盤に向かう習慣を自然と身につけていきます。集中しているときは、周りの雑音や気になることを忘れて、目の前の課題だけに全力で取り組むことができるのです。この「集中力」は、ピアノ以外の勉強や他の習い事、さらには日常生活のさまざまな場面でもとても役立つ大切な力となります。実際に、ピアノを習う子どもは、集中力が向上し、学習能力もアップするという研究結果も報告されています。こうした力は、将来どんな分野に進んでも大きな武器になるでしょう。
継続することで達成感を味わう
毎日の練習やレッスンをコツコツ続けることで、子どもは少しずつ自分の上達を実感できるようになります。「できた!」という成功体験は、子どもの自信ややる気を大きく引き出し、さらに続けたいという意欲につながります。継続して努力することの大切さとその楽しさを学ぶ過程で、途中でうまくいかないことがあってもあきらめずに挑戦し続ける力が養われます。このような経験は、ピアノだけでなく学校の勉強やスポーツ、将来の仕事においても困難に立ち向かう精神力として生きてきます。
小さな目標をクリアする習慣がつく
ピアノの練習は、一曲を完成させるだけでなく、指の動きをよくするための簡単な練習やリズム練習など、さまざまな小さなステップの積み重ねで成り立っています。こうした小さな目標を一つずつクリアしていく経験は、子どもに計画的に物事に取り組む習慣を自然に身につけさせます。目標を細かく分けて達成感を味わうことで、子どもは自信を深めやすくなり、「やればできる」という自己肯定感が育まれます。これにより、ほかの学習や生活の場面でも、自分で目標を決めて計画的に進める力が養われます。


自分で考え工夫する力が身につく
練習の中で、どうしてもうまく弾けない部分や苦手なフレーズに出会うことがあります。そんなとき、子どもは「どうしたらもっと弾きやすくなるかな?」と自分で考え、工夫しながら問題を解決しようとします。この試行錯誤のプロセスを繰り返すことで、自立心や主体性が育ちます。自分で考え、工夫する力はピアノだけでなく、学校の勉強や将来の社会生活でもとても役立つ大切なスキルです。こうした経験が積み重なることで、子どもは自分の力で困難を乗り越える自信を持ち、柔軟に対応できる力も身につけていきます。
ピアノの練習を通じて育つ集中力や継続力は、子どもがさまざまなことに前向きに取り組むための大きな力となります。小さな目標を積み重ね、自分で考え工夫しながら続ける経験は、学習や生活のあらゆる場面で役立ちます。
デメリット① 練習の負担が出ることも
ピアノを習うことで多くの良い面がありますが、一方で練習が子どもにとって負担になることもあります。時間や気持ちの面でプレッシャーを感じたり、飽きてしまったりすることがあるため、無理なく続けられる工夫が必要です。ここでは、練習の負担について具体的に考えてみましょう。
毎日の練習時間の確保が難しいことがある
ピアノの上達には、日々の継続した練習が欠かせません。しかし、学校の勉強や他の習い事、友達との遊びの時間など、子どもにとって大切なことがたくさんある中で、毎日決まった時間にピアノの練習時間を確保するのは簡単なことではありません。特に、学校の宿題が増えたり、家族の用事や体調が優れない日が続いたりすると、練習がおっくうになり、負担に感じてしまうこともあります。また、子どもの成長や気分によっても練習への意欲が変わるため、無理に毎日長時間練習させようとすると逆効果になることも。そんなときは、親子で話し合い、無理のないペースで続けられるよう工夫することが大切です。例えば、忙しい日は短時間の練習でも良いと決めたり、好きな曲を練習に取り入れてモチベーションを高めたりする方法も効果的です。
練習内容に飽きてしまうことがある
ピアノの練習は、同じ曲を繰り返したり、指の動きを鍛えるためのトレーニングを長時間続けたりすることが多いです。こうした反復作業は上達に欠かせませんが、子どもは退屈や飽きを感じやすいものです。飽きてしまうと集中力が続かず、練習の質も下がってしまい、逆に時間をかけても効果が出にくくなってしまいます。そこで、練習の内容を適度に変えたり、楽しい工夫を加えたりすることが重要です。例えば、好きな曲やリズム遊びを取り入れたり、先生や親がアレンジを加えてバリエーションを増やすことで、飽きずに取り組める環境を作ることができます。また、短い時間に区切って練習したり、達成感が得られる小さな目標を設定したりするのも良い方法です。
親のサポートや声かけが必要になる場合がある
特に幼い子どもは、自分で練習の時間を管理したり、どう練習すればいいか計画を立てたりすることがまだ難しいため、親のサポートや励ましがとても大切になります。親が忙しくて練習を見守る時間が十分に取れなかったり、声かけが少なかったりすると、子どもが練習を続けるのが難しくなることもあります。逆に、親がポジティブな声かけや励ましを行うことで、子どものやる気や安心感が高まり、練習への取り組みがスムーズになります。無理なく続けられるように、親子で一緒に練習のルールやスケジュールを決めるのも効果的です。たとえば、毎日同じ時間に練習する習慣を作ったり、練習後に一緒にほめたりして、親子のコミュニケーションの時間にもできます。
時にはストレスやプレッシャーを感じることも
発表会やテスト、先生からの期待など、ピアノを習う環境には子どもが感じるストレスやプレッシャーも存在します。特に、完璧を求められたり、人前で演奏する機会が増えたりすると、緊張や不安を感じる子も少なくありません。こうしたプレッシャーが強すぎると、ピアノが「楽しいもの」ではなくなり、練習が苦痛に感じられてしまうこともあります。だからこそ、子どもの心の状態に気を配り、無理に練習を強要しないことが大切です。適度に休憩を取り入れたり、できたところをしっかり褒めたりすることで、子どもが楽しく前向きに取り組める環境を作りましょう。また、発表会の前は特に心のケアを大切にし、失敗しても大丈夫だよという安心感を伝えることも重要です。楽しみながら続けられる工夫が、長くピアノを好きでいられる秘訣となります。


ピアノの練習は成長に欠かせない大切な時間ですが、子どもにとって負担やストレスになることもあります。無理をさせず、子どものペースに合わせて楽しく続けられる工夫をすることで、デメリットを減らし、より良い経験に変えていくことができます。
デメリット② 費用や時間の負担
ピアノを習うことは子どもの成長にとって素晴らしい体験ですが、費用や時間の面での負担を感じることも少なくありません。月謝や教材費のほか、練習時間の調整や発表会への準備など、家族全体の協力が求められます。ここでは、ピアノを続けるうえでの費用や時間の負担について考えてみましょう。
レッスン料や教材費などの費用がかかる
ピアノ教室に通うためには、月謝だけでなく教材費や発表会の参加費、場合によっては楽器の調律や修理代など、さまざまな費用がかかります。特に発表会では衣装代や送迎のための交通費も必要になることが多く、これらが積み重なると家計に負担を感じることもあります。また、ピアノは長く続けることが上達の鍵となるため、これらの費用が何年にもわたって継続する点も見逃せません。家計の負担を減らすためには、月々の支出を見通し、計画的に費用管理を行うことが大切です。たとえば、発表会の衣装は中古品を利用したり、練習用の教材を中古で揃えたりするなど、無理のない工夫をすることで負担を軽減できます。


練習時間の確保が家族の生活に影響することも
ピアノの練習はできれば毎日行うことが望ましいため、子どもだけでなく家族全体の時間の使い方にも影響を与えます。学校や他の習い事、友達との遊びの時間など、日々の生活で多くのことをこなさなければならない中で、練習時間をどのように確保するかは大きな課題です。特に共働きの家庭では、帰宅後の時間が限られているため、スケジュールを家族で共有し協力して調整する必要があります。例えば、家族でカレンダーやタイムテーブルを作り、練習の時間帯を決めることで、効率的に時間を使うことができます。こうした取り組みは、子どもにとっても生活のリズムを整える良い機会となります。
発表会やイベントへの参加に時間がかかる
発表会やコンクール、地域の音楽イベントなどに参加する際は、練習以外にも準備や移動、当日の演奏に多くの時間を費やします。特に小さな子どもがいる家庭では、親の付き添いや準備の手伝いも必要で、時間的な負担がさらに増すことがあります。発表会は子どもの大きな成長の場である一方、準備にかかる時間や手間は軽視できません。家族の予定調整や送迎、衣装や楽譜の準備など、事前の準備も多く、これらを上手にこなすためには家族間のコミュニケーションと協力が欠かせません。また、忙しい時期には参加を見送るなど、無理のない範囲で楽しむ工夫も必要です。
長期的に続けることへの家族の理解が必要
ピアノは短期間で習得できるものではなく、数年、場合によってはそれ以上にわたって続けることが大切な習い事です。そのため、費用や時間の負担が長期間続くことになります。こうした負担を乗り越え、子どもの成長を支えるためには、家族全員がピアノを習う価値や意義を理解し、応援する気持ちを持つことが重要です。家族の理解と支えがあれば、子どもも安心して練習に取り組めますし、継続するモチベーションにもつながります。逆に、家族のサポートが不足すると、子どもは孤立感を感じたり、途中で辞めてしまう原因にもなります。無理なく続けられる環境づくりのために、家族で話し合い、協力し合うことが子どもの成長を促す大切なポイントです。
ピアノを習うことは、費用や時間の負担が伴う場合がありますが、その一方で子どもにとって大切な経験や成長の機会をもたらします。家族でよく話し合い、無理のない計画を立てながら、楽しく続けていける環境を作ることが大切です。
まとめ
ピアノを習うことで育つ豊かな感性
ピアノのレッスンを通して、子どもたちは単に音を覚えるだけでなく、音楽的な感性や表現力を深く育んでいきます。耳で音の高低や強弱の違いを感じ取り、繊細な音のニュアンスを捉える力が自然と身につきます。また、音楽を奏でることで喜びや悲しみ、緊張や安らぎといったさまざまな感情を表現し、心の中の想いを音にのせる経験を積み重ねます。さらに、曲に込められた物語や自然の風景を想像しながら演奏することで、想像力や創造力が豊かになり、美しいものを感じ取る心も育ちます。こうした感性は音楽だけにとどまらず、日常生活や人との関わりにおいても豊かな心を育てる大切な宝物となり、一生の財産となるでしょう。
集中力と継続力が身につく大切な経験
ピアノの練習は繰り返しが基本であり、一曲を完成させるまでに時間と努力が必要です。こうした過程を通じて、子どもたちは集中して物事に取り組む力を自然に養い、短時間でも集中して取り組む習慣が身につきます。また、毎日の練習やレッスンを続けることで、少しずつ上達していく自分の姿を実感し、小さな目標をクリアする喜びや達成感を味わうことができます。これにより、「できた!」という成功体験が自信となり、困難に直面してもあきらめずに取り組む粘り強さや、自分で考えて工夫する力も育まれます。こうした力は学校生活はもちろん、将来の社会生活や仕事においても非常に役立つ重要なスキルです。
練習や費用の負担もあるが工夫で乗り越えられる
ピアノの習い事には、毎日の練習時間の確保や継続の難しさ、さらにはレッスン料や教材費、発表会の参加費などの費用面での負担もあります。ときには練習内容に飽きてしまったり、発表会などのイベントでプレッシャーを感じることもあるでしょう。しかし、こうした負担や課題は無理のないペースで続ける工夫や、家族の協力、先生とのコミュニケーションを大切にすることで軽減できます。例えば、練習の時間を短く区切ったり、好きな曲を取り入れて楽しみながら練習したり、家族でスケジュールを共有して支え合うことも大切です。こうした柔軟な対応が、長く楽しくピアノを続けるための鍵となります。
家族みんなで支え合い、音楽を楽しむことが大切
子どもがピアノを習い続け、成長していく過程には、家族みんなの理解と応援が欠かせません。練習の見守りや励まし、時間や費用の調整など、日々の生活の中で家族が協力し合うことで、子どもは安心してのびのびと取り組むことができます。家族が一緒に音楽を楽しむ時間を持つことも、子どものやる気を高め、音楽を通じて豊かなコミュニケーションが生まれるでしょう。ピアノを習うことで得られる喜びや学びは、子どもだけでなく家族全体の生活を豊かに彩ります。音楽のある毎日を大切にしながら、笑顔あふれる時間を共有していきましょう。


ピアノを習うことは、メリットもデメリットもありますが、子どもの成長や感性を豊かにする素晴らしい経験です。負担を感じることもあるかもしれませんが、家族や先生と協力しながら、無理なく楽しく続けることで、かけがえのない財産が育まれます。音楽を通して、子どもたちが笑顔で豊かな毎日を送れることを心から願っています。