絶対音感、大人は身につく?大人の音感トレーニングの正しい考え方

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絶対音感、その響きかっこいいですよね。大人になった今「絶対音感」を手に入れたいと思った方もいるのではないでしょうか。結論から申し上げますと、大人になってからでは残念ながら絶対音感は身につきません。しかし、大人でも音感は必ず向上します。今回は、なぜ絶対音感が大人になってからでは身につかないかを解説し、大人の方にピッタリな音感トレーニングをご紹介していきます。

平田先生

絶対音感だけが音感ではありません!大人になってからでも育つ音感はあります!

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絶対音感はなぜ大人に身につかないのか

絶対音感が大人になってから身につかない理由は、脳と聴覚の発達と子供ならではの特徴に深く関係しています。その理由を説明します。

音の処理方法の違い

幼児期の脳は、音を周波数としてではなく、純粋な感覚情報として処理する能力が高いとされています。これは、音を単なる音高として記憶する絶対音感の発達に適しています。しかし、大人になると、音の処理が言語的、または相対的な基準(相対音感)を中心に行われるようになり、音を相対的な関係として捉えることが優先されます。このため、音を絶対的な基準で覚えることが困難になるのです。

敏感期

人間の脳は幼児期に非常に柔軟で、音や言語、その他の感覚を学習するための「敏感期」と呼ばれる時期があります。この時期、特に音に対する感受性が高く、音の高さを正確に識別する能力を効率的に習得できます。絶対音感を持つ多くの人は、3歳から6歳の間に訓練を受けていることが多いです。この期間を過ぎると、脳の可塑性(新しい情報を学び、適応する能力)が低下し、新しい音に対する識別能力を獲得するのが難しくなります。

言語と音楽の類似性

音楽と母語の学習には多くの類似点があり、特に音のピッチ(高さ)に関しては、言語学習と似たプロセスが関与しています。幼児は、母語の音を非常に細かく聞き分ける能力を持っており、それは音楽のピッチ感覚とも関係しています。絶対音感の訓練が幼い頃に効果的なのは、この言語学習能力と関連しているためです。しかし、大人になると、この細かい音の聞き分け能力が減少し、新しい音の体系を学ぶのが難しくなります。

絶対的な聴き方ができる幼少期

子供の絶対的な聴き方が習得の鍵になっています。絶対音感がつくまで、平均的に2年以上かかるといいます。その間、音が高いとか低いとか比べる聴き方をさせないのが、絶対音感をつけるためのポイントです。 大人になってしまうと、脳は賢くなってしまうので、無意識に高い・低いを判断する能力が備わってしまいます。本来、比べる能力の発達は、成長にとって必要なことですが、絶対音感をつけるという目的では邪魔になってしまいます。幼児期は比べないからこそ、絶対音感の習得に最適なのです。

残念ながら以上の理由で、絶対音感は大人では身につけることができません。しかし大人でも音楽訓練を続けることで、相対音感や音楽的なスキルを高めることは可能です。その能力を完全に得ることは難しいかもしれませんが、音楽的感性や能力を向上させる努力は大人でも十分にできます。

絶対音感と相対音感とは

絶対音感と相対音感は、音楽における音の聞き分けや認識の方法を指す重要な概念です。両者には明確な違いがありますが、どちらも音楽的なスキルとして非常に有用です。以下に、それぞれの概念を詳しく説明します。

絶対音感(Perfect Pitch)

絶対音感とは、基準音や他の音に頼らずに、単独の音を聴いただけでその音の高さ(ピッチ)を正確に識別できる能力のことです。例えば、ピアノで「ド」の音を鳴らした時、その音が「ド」であるとすぐにわかる人は絶対音感を持っています。絶対音感の特徴としては、どんな楽器や音源から出る音であっても、瞬時にその音の高さを正確に判断できたり、他の音と比較する必要がなく、単独の音でも認識できるなどです。

相対音感(Relative Pitch)

相対音感とは、音の高さを他の音との関係で判断する能力です。ある基準の音に対して、他の音がどれだけ高いか低いかを判断することで、メロディや和音の違いを理解します。例えば、ピアノで「ド」と「ミ」を鳴らすと、その音の間隔(音程)を聞き分けて「ミ」が「ド」よりも高いと認識するのが相対音感です。特徴としては、ある音から別の音までの距離(音程)を正確に聴き取れたり、絶対音感のように単独の音だけでその高さを認識するのではなく、他の音との比較によって判断します。多くの音楽家や楽器演奏者がこの相対音感を活用して演奏を行っています。訓練によって確実に向上します。

絶対音感と相対音感の違い

絶対音感は基準音なしで音の高さを即座に識別できるのに対して、相対音感は基準音に対して音の高さや音程を識別します。また絶対音感は単一の音を聴いても正確に音名を判断できるに対し、相対音感は複数の音を比較して関係性を理解しています。絶対音感は幼少期に正しいトレーニングを行うことで身につき、相対音感は音楽を続けたり、相応のトレーニングをすることでいつでも身につけることができます。

実生活や音楽における役割

絶対音感は、作曲や即興演奏、正確な調律に役立つ能力ですが、必ずしも音楽的な成功に必要不可欠ではありません。実際、多くのプロの音楽家は絶対音感を持っていない場合もあります。相対音感は、楽器の演奏、歌、音楽の理解において非常に重要です。特に、ハーモニーや和音を理解し、音楽の中で音程を正確に把握する能力は、演奏や作曲に大いに役立ちます。

結論として、絶対音感と相対音感はどちらも異なる強みを持つ能力であり、音楽家にとってどちらか一方を持っているだけでも大きな能力となります。

相対音感をつけよう

相対音感は、音の高さや音程を他の音との比較によって認識する能力であり、多くの音楽活動に直接関与しています。相対音感の重要性について詳しく説明します。

即興演奏や作曲に役立つ

相対音感を持っていると、即興演奏や作曲にも大きく役立ちます。即興演奏では、他の演奏者が出す音に対して瞬時に反応し、適切な音を選んで演奏する能力が求められます。相対音感があると、曲のコード進行を耳で捉えやすくなり、それに基づいて即興演奏を行うことができます。また、メロディを作曲する際、他の音との音程のバランスを考えることが容易になり、自然で美しいメロディラインを作成できるようになります。

楽器演奏に不可欠

相対音感は、楽器を演奏する際に不可欠なスキルです。楽譜を読んで音を再現することや、複数の音の間隔(音程)を正確に捉えるためには、相対音感が大いに役立ちます。以下のような場面で特に重要です。メロディは、連続する音の高さの変化で構成されています。音程の違いを正確に聞き取り、再現するために相対音感は不可欠です。ピアノやギターなどの楽器では、複数の音を同時に弾くことが多く、これを正確に耳で判断できる能力が必要です。

音楽の深い理解と鑑賞

相対音感を持つことで、音楽そのものの理解が深まり、より豊かに音楽を鑑賞できるようになります。相対音感は、楽曲の音程や和音の関係を耳で把握できるため、曲の構造や進行を理解する助けになります。また相対音感を持っていると、クラシックからジャズ、ポップスまで、さまざまな音楽ジャンルに対応しやすくなり、それぞれの特徴や魅力をより深く感じ取ることができます。

相対音感は、音楽を理解し、楽しむための基盤となるスキルです。楽器演奏や歌、即興演奏や作曲、さらには他の音楽家とのコミュニケーションにおいて非常に重要な役割を果たします。さらに、相対音感は訓練によって向上できるため、音楽の学習者にとって習得しやすいスキルでもあります。音楽に携わる多くの人が、この能力を磨くことでより豊かな音楽体験を得ることができるでしょう。

大人の相対音感トレーニング方法

大人でも音感を向上させるためのトレーニングは可能であり、特に相対音感を鍛えることが効果的です。また、絶対音感の完全な習得は難しいかもしれませんが、音感を強化するさまざまなトレーニング方法で音楽的なスキルを向上させることができます。大人ができる音感トレーニングの具体的な方法を紹介します。

音程を聞き取るトレーニング

相対音感を鍛えるための基本的なトレーニングです。音程(2つの音の間の距離)を正確に認識できるようにすることが目標です。まずピアノや音階アプリを使って、最初に一つの音(基準音)を鳴らし、次にもう一つの音を鳴らします。その2つの音がどの音程か(例えば、完全5度や長3度など)を聞き分けます。正しい音程がわかるまで繰り返し練習します。時間が経つにつれ、音程を直感的に聞き取れるようになります。

ソルフェージュ

ソルフェージュとは、楽譜を見ながらその音を頭の中で想像して歌うトレーニングです。これにより、音階や音程を理解し、音楽的な耳を養うことができます。簡単な楽譜を準備し、音階や音程を読みながら歌います。音階(ドレミファソラシド)のシラブルを使って、楽譜の音を声に出して唱えます。初めはゆっくりとしたテンポで、慣れてきたら少しずつ速度を上げていきます。この練習は、相対音感の強化に非常に効果的です。視覚と聴覚を結びつけることで、音楽をより深く理解することができます。

コードの認識トレーニング

和音(コード)の聞き分けは、音感トレーニングの重要な一部です。コードの種類や進行を耳で聞いて判断できる能力は、作曲や即興演奏に役立ちます。まず、メジャー、マイナー、セブンスなどの基本的なコードを学び、それぞれの響きの違いを認識します。ピアノやギターでコードを弾いてみて、どのコードが鳴っているかを聞き分けます。より複雑な和音(例: 拡張和音や変化和音)に挑戦し、徐々に難易度を上げていきます。

メロディ模写トレーニング

耳で聞いたメロディを再現するトレーニングです。この練習により、音程を素早く正確に捉える能力が向上します。短いメロディを耳で聞きます。ピアノやアプリなどからメロディを再生します。そのメロディを、声や楽器で再現します。音程やリズムが正確になるよう注意します。簡単なメロディから始め、徐々に複雑なものへと進めます。

このトレーニングは、特に歌手や楽器奏者にとって効果的です。

ボーカルトレーニング

自分の声を使って音感を鍛えることも有効です。自分で音を出すことで、音程のコントロールや調整を学びます。音階練習を行い、各音を正確に出す練習をします。ピアノやチューナーを使って、正しい音程で歌うことを確認し、歌う際に音程がずれないように意識して練習を続けます。

大人でも適切な方法と継続的なトレーニングによって、音感を高めることは十分可能です。相対音感を中心に鍛えることで、音楽の理解が深まり、演奏や歌唱の技術も向上します。時間をかけてこれらのトレーニングを続けることで、音感に関するスキルが少しずつ向上していくでしょう。

まとめ

残念ながら絶対音感は大人になってからでは身につけることができません。しかし、大人になってからの有効な音感トレーニングはあり、鍛えることはできます。簡単にまとめてみます。

なぜ絶対音感は大人になると身につかないのか

それは脳や聴覚の発達に大きく関係しています。また比べる能力が次第に発達してくると絶対音感に必要な「絶対的な聴き方」ができなくなってきてしまいます。言い換えれば、聴き方、考え方が未熟だからこそ習得できる能力なのかもしれません。

大人に最適な音感とは

大人でもトレーニングで確実に伸ばすことができる音感は「相対音感」です。相対音感とは音と音を比較し、判断できる能力です。この相対音感があると音楽活動にとても有利です。作曲をしたり、耳コピをしたり、楽曲分析するにも役に立ちます。大人になって方でも十分身に付く能力ですのでぜひトレーニングをしてきてください。

相対音感のトレーニング方法

まず、日常的に音楽活動をすることは大切です、ピアノを習う、ギターをする、歌を歌うなど、継続的に音を感じる習慣をつけましょう。具体的なトレーニング方法は楽器やアプリを使い、正確な音程を流し、それを真似することから始めましょう。他にも正しい音程で歌うこと、コードを知り、楽器で鳴らしてみることなどがあります。音をよく聴き「探る。探す」癖をつけましょう。

残念ながら大人になっては絶対音感をつけることはできませんでしたが、絶対音感だけが素晴らしい音感でもありません。相対音感という、素晴らしい音感は大人になっても十分伸ばすことができます。ぜひ、相対音感のトレーニングをしてみてはいかがでしょうか。

私は千葉県柏市でピアノ・リトミック教室をやっています。

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この記事を監修した専門家

平田みどりのアバター 平田みどり 絶対音感が身に付くピアノレッスン講師

ピアノ・リトミック教室HappyMusicのオーナー講師。4歳からピアノを始め、現役奏者の頃は年に100回近くのピアノ演奏、楽器店のミニコンサートへの出演などを行っておりました。
現在は千葉県柏市・我孫子市にあるHappy musicのオーナー講師として、リトミック、ピアノ講師として活動中。
幼稚園教諭免許・保育士免許・日本ジャックダルクローズ協会会員・リトミック認定講師資格・ベビーリズムマッサージ資格・ヤマハ指導グレード資格取得。

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