絶対音感は後天的なものだった?!絶対音感を確実に身につける方法3ステップ
絶対音感を持つ人の割合は、生理学者のバッチェムの研究によると、プロの音楽家の場合で約5%、一般の人では20万人にひとり(0.0005%)程度です。この極端に少ない割合から、「絶対音感は生まれつきの、特別な才能」という見方がされてきました。しかし、生まれつき言葉を喋り出す赤ちゃんがいないように、私は「生まれつき」という言葉に違和感を感じます。何が言いたいかと言うと、覚えさせなければ、「絶対音感」という定義はわからない、だから「生まれつき」なんかないと思うのです。実際、絶対音感を身につけるトレーニング法があります。今回は、生まれつきではなく、どのように絶対音感がついていくのか、そしてそのトレーニング方法をお話しします。
絶対音感ってなんだか神秘的よね?
人間の聴覚能力
人間の聴覚は素晴らしいものです、いつからどのように成長していくのかを詳しく解説したいと思います。
いつから聴こえているの?
人間の聴覚は、胎児期の16週頃から発達し始め、24週以降には外部の音を認識し始めます。30週頃には音に対する反応が顕著になり、生まれた瞬間には十分に発達した聴覚を持っていると言えます。胎児は母親の声や音楽などを聞いており、これらの音は生後も影響を与えることが知られています
どれくらい聴き取れているの?
赤ちゃんや幼児の聴力は、生まれた瞬間から非常に敏感であり、時間とともにさらに発達していきます。6ヶ月を過ぎる頃には言葉や音の違いをより明確に聞き分けるようになります。1歳を過ぎると、言葉を理解し始め、音声の模倣を通じて言語習得が進むなど、聴覚は急速に発達していきます。つまり生まれたての赤ちゃんや幼児期の子どもたちは非常に耳の良い状態と言えるでしょう。
年齢と聴覚
人間の聴覚は胎児期から発達し始め、生後すぐに母親の声などに敏感になり、幼児期にかけて音の識別や言語の理解能力が急速に向上します。聴覚は6歳半までに急速に発達し、特に音の高さや方向の認識、言語音の識別能力が大きく向上します。この時期までに、言葉の音や音楽のリズムなどを正確に聞き取る力が整い、社会的なコミュニケーションの基盤となる聴覚能力が完成に近づきます。思春期にかけては緩やかに成長し、その後は20代から徐々に衰え始め、高音域から聴力の低下が進行します。
聴覚トレーニングの最適時期
6歳半は音感習得に最も適しています。特に絶対音感のトレーニングは、幼児期(3歳~6歳位まで)に始めるのが理想的です。耳の成長が止まる6歳までにトレーニングを始めれば、身につけることができるとも言われています。
聴覚は幼児期に素晴らしい成長を遂げます。その時期に適切な音感トレーンングをしてこそ絶対音感は身につくと考えています。
後天的な理由
絶対音感が後天的に習得可能であるとされる理由には、以下の4つがあります。
幼少期の臨界期
幼少期、特に2歳から6歳頃までの時期は、脳が音に対する感受性が非常に高い「臨界期」と呼ばれる期間です。この期間に音楽を学ぶことで、音を細かく識別する能力が発達します。研究によれば、この時期に音階を正確に聞き分ける訓練を積むことで、後天的に絶対音感を習得できる可能性が高まります。
音楽教育の影響
絶対音感は、幼少期における継続的な音楽教育や練習によって習得可能です。特に、ピアノやバイオリンなど音の高さに敏感な楽器を使った訓練は、音を正確に識別する力を育てます。音楽教室や家庭での練習を通して、意識的に音階を学び、耳を鍛えることで絶対音感が発達します。
環境による感受性の向上
絶対音感を持つ多くの人は、幼少期に音楽に触れる機会が豊富だったことが共通しています。日常的に音楽を聴く環境や、家族や親が楽器を演奏する環境は、音に対する敏感さを育てます。音楽に囲まれた環境が、音の高低や細かい音の違いを自然に識別する力を後天的に高めます。
脳の柔軟性
幼少期の脳は非常に柔軟で、外的刺激に応じて神経回路が発達します。この神経可塑性の性質により、音楽教育や音の訓練を受けると、音の高さを認識する脳の機能が強化されます。これにより、後天的に絶対音感を習得することが可能です。
絶対音感が後天的に習得可能である理由としては、「幼少期の臨界期」「音楽教育」「環境要因」「神経可塑性」の4つがあげられます。これらの要因を活かした早期の訓練や環境が絶対音感を習得する方法です。
絶対音感を身につける方法1「年齢」
絶対音感を身につけるのには年齢の制限があります。人は誰でも絶対音感を身につける可能性を持っていますが、成長とともに、その可能性を失います。その年齢を過ぎると、トレーニングをしても、絶対音感に到達することはありません。したがって、この時点で絶対音感を身に付けたいが諦めればならない方がいることをどうかご了解ください。
年齢制限
絶対音感習得には6歳半までである事が条件です。人はありあまる可能性を持って生まれながら、一定期間、それを使う環境にないと、「それは不要な能力である」と判断し、 その能力の発達を止めてしまいます。より必要な能力を伸ばすための仕組みです。身につけられる時期が限られている能力は、絶対音感以外にもあります。
母国語の獲得も、その1つです。年齢が高くなってから学んだ言語は、母国語のようにはなりません。これらは、聴覚神経の発達に関連すると考えられています。
臨界期
臨界期とは生理学用語で、人間の脳の発達の幼児期においてある刺激が与えられたとき、その効果が最もよく現れる時期をさします、臨界期に適切な刺激を与えておけば、その後成長してからもすぐにコツをつかむことができるので、技能の上達が早くなります。言語や数学、音感、感覚などに臨界期は存在しており、その臨界期は6歳未満。脳科学的にまぎれもない事実です。よって、外国語や数字を処理する能力(筆算や暗算)、絶対音感を育みたいなら、3歳ころから6歳までに始めるのがベストです。
絶対音感とクロマの存在
絶対音感では「クロマ」の特定能力です。「クロマ」とは簡単に各音特有の響きを言います。人は音を高い低いと言いますが、クロマのその音特有の響きをもっているので、音の固定に関係なく音名が特定できます。その能力が絶対音感なのです。そして、このクロマは加齢によりトーン・ハイト(音の高低)に傾いてしまうのです。
絶対音感は低年齢のお子さんのみ身につける事ができることだったんですね。
絶対音感を身につける方法2「習慣化する」
絶対音感は1日、2日では身につきません。一定期間トレーニングする必要があります。トレーニング中の注意点をお伝えします。
比べない、感情を当てはめない
絶対音感トレーニングは絶対的な聴き方をするトレーニングです。何かと比べてはなりません。それはトレーング中の講師の反応、声かけでもそうです。人間は賢い生き物で、顔色を見たり、正解を導き出すためさまざまな情報を入手し比較しようとします。これは正しい成長の現れです。しかし絶対音感を身につけるためのトレーニングでは、比較したり、叱ったり、あからさまに褒めてもいけません。それは、トレーニングで絶対的な聴き方をするための方法なのです。
トレーニングをやめない
トレーニングは、絶対音感が身につき定着する6歳半ごろまで続けます。それは教室でのトレーニング以外でもご家庭の力をお借りし、続けていきます。1回は短いトレーニング時間ですが、1日に何度かトレーニングをします。
親の根気勝負
トレーニングは保護者の力をお借りせざる得ません。絶対音感を身につけるため、トレーニングを欠かさずして頂くご苦労は大変かと思います。
絶対音感を身につける方法3「正しい方法」
絶対音感トレーニングの正しい方法とはどんな方法なのでしょうか。
ほぼ確実に絶対音感をつけることのできる唯一のトレーニング法
適切にトレーニングをおこなえば、ほぼ確実に身につけることができる絶対音感。「江口式絶対音感プログラム」は、現在、もっとも効果的なトレーニング法とされています。「江口式絶対音感プログラム」は3つの和音の響きを覚え、だんだんと細分化して単音化していきます。響きを捉えることでクロマでの聴き取りをしています。
忠実に行う
「江口式絶対音感プログラム」を始めるにあたり、明確なやり方、トレーニングの進め方があります。上記にも述べたように比較しないこと、日々のトレーニングをやめないなど決まり事を忠実に行います。
専門家に相談し、トレーニングを進める
「江口式絶対音感プログラム」を取り入れているピアノ教室、音楽教室があります。ぜひ、専門家に相談しトレーニングを進めて下さい。挫けそうな時もきっと良いアドバイスや励みになると思います。
まとめ
絶対音感は後天的ではないという理由と、習得方法3つを詳しく解説してきました。
聴覚の発達
赤ちゃんが生まれた瞬間から、すでに発達した聴覚を持っています。生後すぐの新生児は、母親の声を聞き分けることができ、胎児期に聞いていた音を記憶していることがわかっています。また、母親の声に対して落ち着いたり、音楽やリズムに反応したりすることも確認されています。赤ちゃんや幼児の聴力は、生まれた時点で機能しており、特に母親の声や高音域に敏感です。生後数ヶ月で音の方向を認識できるようになり、6ヶ月を過ぎる頃には言葉や音の違いをより明確に聞き分けるようになります。1歳を過ぎると、言葉を理解し始め、音声の模倣を通じて言語習得が進むなど、聴覚は6歳半まで急速に発達していきます。
絶対音感は後天的である理由
生まれつき言葉を話す赤ちゃんがいないよう、音感も教えていかなければわかりません。耳は生まれつき、優れた力があります、その脳力を伸ばすのは幼児期の音感教育であるといえます。幼児期は脳が音に対する感受性が非常に高くなる臨界期と呼ばれる時期でもあります。正しい、音感教育や、環境にいることで絶対音感が身につくと考えています。つまり絶対音感は後天的に身につく能力です。
絶対音感を後天的に取得する方法
絶対音感を後天的に取得する方法は正しいトレーニングを正しく行い、毎日継続的に行うことが条件です。これは、正しいトレーニングができる環境や教室からのアドバイスをもらうこと、親の忍耐で幼児に継続的に行う努力などが必要です。
いかがでしたか。絶対音感は生まれつき、神秘的などというのはイメージであって、トレーニングで後天的に身につけることができる、素晴らしい人間の能力なのです。