現役リトミック講師が教える!楽しく盛り上がるリトミック指導案の立て方を徹底解説

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保育現場などでリトミックをやってみたい保育士さん必見、楽しく盛り上がるリトミックの指導案をご紹介します。ぜひ、参考にしてみて下さいね。

タップできる目次

リトミックのねらい

リトミックはお遊戯やダンスと同じと思っている方がいますが、お遊戯やダンスは決められた動きを覚えて再現するのに対し、リトミックは、音楽を聴いて自分が感じたものを自由に身体で表現します。どちらも音楽に合わせて体を動かす活動ですが、お遊戯やダンスとリトミックでは目的の異なった活動であることが分かります。リトミックのねらいを説明します。

即時反応

言葉の通り、その場で考え反応する活動の事です。脳の「あっ!はっ!」体験です。音が止まると活動も止める、リトミックの課題に対し体で反応する、などの活動です。

ダイナミクス

よく使われるサブジェクトです。空間を使い体で音の大きさ、エネルギーを感じます。簡単なようですが、演奏に気をつけならなくてはなりません。また、最初はいいのですが「アリさんになろう!」などと声掛けをしてしまうとせっかくの子供の想像力が大人の指示によってなくなってしまうのできをつけましょう。演奏に対して「これは誰かな?」と答えを子供に導き出してもらうことが大切です。

ビート感、 拍子

音楽にはビートがあります。これは人間の心臓の鼓動と同じです。絶え間なく続くビート感を味わいながら、音楽を感じることが大切です。ビートを感じたら拍子を感じ、次第に違いを感じる課題に進歩します。

リズム・カノン

幼稚園、保育園の現場では手遊び歌をよく歌うと思います。その中にはリズム、カノンの課題が多く含まれています。その手遊び歌はよくできているな、と感心するものばかりです。課題としては、リズム打ち、マネっこ遊びすることで記憶して実行、カノンの要素が含まれます。例としては♪こぶたぬきねこ、♪やさいのうた、などです。どんどん歌遊びでリズム、カノンを使って体を動かして下さい。

長調、短調の聴き分け

音楽には、「明るい」「暗い」と言われる調性があり、その聴き分けの課題があります。長調、短調の演奏を聴きどんな気持ちかを表現します。また、リトミック中の演奏も楽しい場面、悲しい場面で演奏を工夫する必要があります。

指導案を立てるポイント

指導案を立てる時のポイントを細かく分けて説明します。

活動の範囲を考えて

活動の場所、年齢、子供のリトミックの経験などから活動の内容を考えます。リトミックが初めてなら活動は身の回りから始め、次第にスペースを広く使う活動へ発展させていきます。使う範囲がわかるとどんな活動にすれば良いか考えやすくなります。

身近なわかりやすい活動と紐付けして

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リトミックは上述したようなねらいがあります。しかし、子供にとっては楽しいリトミックでなければなりません。活動は子供の身近な事象を再現する動きや活動がわかりやすいでしょう。それらの活動に音楽をつけ、とらえていきます。

例えば、動物園に行こう!→車に乗っていく、電車に乗っていく、など乗り物の速さ、ビートをねらいにできます。また大小様々な動物を表現することでダイナミクスを感じます。動物の動きを真似てリズムで表現したりもできます。子供にとっては「動物園に行く」というごっこ遊びですが、しっかりリトミックのねらいを盛り込んであります。

1つのことから派生させる「ねらい」

2-2でお話ししたように、子供は流れの中で活動を楽しんでいます。「動物園にいく」というテーマで、車で行く、自転車で行く、スキップで行く、電車に乗っていく・・・などテーマは広がります。また動物を見た後はお弁当を食べよう、というテーマでお弁当のおかずの名前をリズムで打ってみたり。リトミックレッスンそのものをごっこ遊びのような一連の活動にすると、指導案も立てやすくなります。

わかりやすくなる教材の準備

子供は、楽しい教材や絵などでも想像を膨らませます。口で説明するだけではなく、活動のテーマを絵で見せて説明すると子供の興味や表現を引き出すことができます。指導案が出来たら、それに沿った説明の絵や教材を準備すると良いでしょう。

リトミック指導案の想像は浮かんできましたか?むずかしく考えず、まず子供の興味のある日常の活動を思い起こして下さい。その動きに、リトミックのねらいを当てはめていきましょう。

リトミック活動で準備した方が良いもの

では、実際にどんな教具や準備をしたら良いかを紹介します。

わかりやすい絵

活動する内容がわかる絵を準備しましょう。子供達に見えるように大きめに作りましょう。動物園の絵、飛行機の絵、船の絵、海の絵、お弁当の絵など、活動に出てくる絵を準備し、視覚的に何をするか明確にしてあげましょう。

身近な楽器

鳴り物は子供の興味を誘います。タンバリン、すず、マラカス、太鼓など。お手製のマラカスを作り手に持って鳴らしても良いですね。リトミックは音楽教育ですから、楽器に触れることは大切なことです。

身近な小道具

音が鳴らなくても、音を感じる様々な身近な小道具はあります。例えば、ボール、スカーフ、フラフープ、ポンポン、紐、など。これらを音に合わせて振ったり回したりすることで音を感じられる動きを知ることができます。子供はまず目で見える事で認識が始まり興味を持ちます。色などに執着する行為もその1つです。教具はリトミックにおいて音を目で認識し、感じられる大切な役目があります。

教材は子供の指導に欠かせないアイテムなことがわかりました。工夫次第で身近なもので音楽を感じられる道具になります。

リトミック即興演奏のポイント

リトミックに重要なのが即興演奏です。高度な演奏をしなくてもポイントを抑えるだけで届く演奏になります。参考にしてみて下さい。

演奏の重要さ

リトミックには生演奏が不可欠です。できたら音域の広い楽器であるピアノを使うと良いです。リトミックでの演奏はできれば初心者ではなく中級者以上が好ましいです。即興演奏が得意、演奏で表現するのが得意な方は有利かもしれません。演奏は1人よがりなものではなく、はっきりわかりやすく体が動きたくなるパワーを感じる演奏を心がけましょう。よく、「歩きましょう」のテーマでド、ソ、ド、ソと4分音符を刻む演奏がありますが、それでは途中で活動の推進力が失われてしまいます。そんな時、3連符を入れたり付点のリズムを入れることで解消されます。このように、演奏には一定の技術が必要です。

体を動かす推進力になっているかどうか

ただ単調に演奏していては、活動の躍動にはつながりません。まず、演奏してみて次便が活動を行える演奏か確認してみてください。また、演奏する方は活動をわかっていますが、リトミックを行う子供は演奏を聞いて想像を深めなくてはなりません。その動きに本当に適している演奏か自分でも確認しましょう。

音のパワーを感じた演奏になっているかどうか

音のパワーとはただ、ボリュームを大きく、小さくの話だけではありません。音域、音の高低、和音のハーモニーなども人に様々な影響を与えます。「ゾウさんになろう」といって、大きなボリュームで弾くだけではなく、音の幅、和音、音価、リズムを選ぶことでさらにゾウさんになっていくのです。

わかりやすい楽譜例

リトミックは即興演奏が大切と言いましたが、突然好きに演奏してと言われても大変なことだと思います。そんな時は子供向けのピアノ教材(楽譜)の曲集を弾いてみるのも良いでしょう。例えばピアノドリームやオルガンピアノの本などです。ピアノドリームは4以上くらいのレベルが好ましいでしょう。そんなに難しくなく、様々なメロディーが載っています。即興が苦手な方はまず、既成の楽譜を弾いてみても問題ありません。ポイントは演奏に「動ける」エネルギーを込めること、これを注意して下さい。

リトミックは生の演奏が非常に重要です。子供とリトミックをする前に今一度自分の演奏で体が動けるか、確認してみて下さい。

リトミックのやり方のまとめ

リトミックの指導案は自分自身がリトミックへの理解を深めるための方法でもあります。リトミックのねらいとアイディア次第で様々な指導案が浮かんでくるかもしれません。

リトミック指導案を立てる時のポイントのまとめ

まずは子供が楽しく行える一連の活動を考えます。そしてその活動にリトミックのねらいを当てはめます。その時、ねらいを行うための体の動きに合わせた演奏、曲(即興が苦手な方)を考えます。演奏でまず自分が動けるか、どのようにしたらエネルギーを感じてもらえる演奏になるかを練習します。目的がわかっていないと、指導者の活動の進め方や演奏をどのようにしていいのかがわからなくなってしまいます。リトミックに不慣れな時はとくに、指導案をしっかりたてることが大切です。

指導案を立てるということ

指導案をたて、ねらいと動き、演奏、声かけなどを明確にすることは、自分の考えを整理する良い機会です。何度も指導案を立てることを行なっているとそれが身につき、リトミックのアイディアが増えます。アイディアが浮かぶことでさらに楽しく有効なリトミックの指導案が浮かんできます。「こうなって欲しい」「感じて欲しい」という思いは活動と演奏に伝わります。

何度も指導案をたて、リトミックのアイディアを増やして下さい。指導案を書くことを繰り返すことでリトミックが身についていきます。

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この記事を監修した専門家

平田みどりのアバター 平田みどり 絶対音感が身に付くピアノレッスン講師

ピアノ・リトミック教室HappyMusicのオーナー講師。4歳からピアノを始め、現役奏者の頃は年に100回近くのピアノ演奏、楽器店のミニコンサートへの出演などを行っておりました。
現在は千葉県柏市・我孫子市にあるHappy musicのオーナー講師として、リトミック、ピアノ講師として活動中。
幼稚園教諭免許・保育士免許・日本ジャックダルクローズ協会会員・リトミック認定講師資格・ベビーリズムマッサージ資格・ヤマハ指導グレード資格取得。

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