絶対音感は後天的?先天的?大人になってもつくのか?
絶対音感とは、他の音と比べなくても、突然聴こえた音の音名が分かる能力のことです。 絶対音感に憧れる方は多いのではないでしょうか。しかし、この絶対音感が生まれつきだ とだとしたら希望はないですが(持ってない人)後天的につくとしたら期待が持てますよ ね。今回は、絶対音感の先天性、後天性について、また、どのようにして習得できるのか お話しします。
絶対音感は後天性?先天性?
先天性(遺伝)であるイメージがある方もいるかもしれません。それだけ絶対音感は神 秘的なイメージはあります。先天性?後天性?長年、絶対音感トレーニングの現場にい た、私なりのお話をしますね。
先天性との研究結果
近年、トロント大学とデラウェア大学の共同研究チームは、「絶対音感」についての最新の研究結果を医学誌『ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス』に発表ました。それによると、絶対音感は遺伝学的に先天性のものであることが判明ました。
先天性で絶対音感を持っているという矛盾
絶対音感は、先天性(遺伝)によるものであることが明らかになりましたが、逆に先 天的に能力を持っていても、それがうまく使えなくては全く意味がありません。例え ば、木の棒があるとします。その木の棒の長さが何cmか、普通見ただけでは分から ないですよね。だいたいの長さは分かるかもしれませんが正確な長さを言い当てるの は難しいです。それを見ただけでミリ単位まで言い当てる、絶対音感がある人はそん な感じです。つまり、音に対してそうした場面がなければ先天的に絶対音感を持って いても、自分の中に秘めたもので終わってしまいます。トレーニングや音楽活動をす ることで、絶対音感を認識しているからこそ「絶対音感所有者」なのです。
後天性であると言って良い
前述してように、先天性(生まれつき)である研究結果がありながら認識しなけ れば意味がないお話をしました。つまり絶対音感の元となるのは先天的(遺伝) にありますが何もしなければ(音感教育)成長するにつれてこれが退化してしま います。しかし音楽に触れるなど訓練を受けると音感が定着します。これがいわ ゆる絶対音感です。したがって後天的であると言っても良いでしょう。
生まれつきの才能は存在するものです。しかしほっておけば退化しますし、訓練すれば才 能は飛躍的に伸びます。また、絶対音感はトレーニングで習得できます。次にトレーニン グのポイントをお話ししますね。
絶対音感のトレーニングに大切なこと
絶対音感トレーニングのポイントを解説します。
適切なスタートのタイミング
人は誰でも絶対音感を身につける可能性を持っていますが、成長とともに、その可能性 を失います。人はありあまる可能性を持って生まれながら、一定期間、それを使う環境 にないと、「それは不要な能力である」と判断し、その能力の発達を止めてしまいま す。より必要な能力を伸ばすための仕組みです。身につけられる時期が限られている能 力は、絶対音感以外にもあります。母国語の獲得も、その1つです。年齢が高くなってから学んだ言語は、母国語のようにはなりません。これは聴覚神経の発達に関連すると考えられています。
幼少期からの取り組み
上記のことから、絶対音感を身につけられるのは、6 歳半までです。その年齢を過ぎると、トレーニングをしても絶対音感に到達することはありません。
正しい習得方法
絶対音感は適応年齢内に、適切にトレーニングをおこなえば、ほぼ確実に身につけるこ とができる能力です。この適切なトレーニングがポイントです。適切ではないと、前述 したように、凸凹とした聴き取りが身についてしまい、かえって音が窮屈になりかねま せん。
身に付くまでの時間
早いお子さんでは3ヶ月から半年で習得する方もいます。平均すると1年半から2年以 内に習得することができます。
習得には一定の制限がある絶対音感。しかし、才能を引き出す期間のリミットがあるなら 試してみたいとも思いますよね。
大人になっても絶対音感は身に付く?
習得には年齢制限があるお話をしましたので、結果はお分かりのことと思います・・・ しかし大人の方でも伸ばせる音感がありますのでご紹介しますね。
残念ながら・・・
結論から申し上げますと6歳を過ぎてからは絶対音感を身につけることはできません。これは聴覚の発達が関係しています。この記事を読んでいる方は6歳を過ぎて いる方がほとんどだと思います。残念ですが絶対音感を身につけることはあきらめ ましょう。
相対音感は十分身につきます
安心して下さい!絶対音感はなくても音感は訓練で日々成長します。聴覚の能力の中に相対音感という音感があります。「相対」とは、「比べる」という意味です。 前の音との幅を見積もって、音をあてること、音階の枠組みを利用して、音をあて ることを相対音感と言います。 絶対音感と相対音感は、音の判断の仕方がまったく 違います。そしてどちらが優れているといった話ではなく、どちらも音楽活動をお こなう上で、重要な能力です。相対音感はいつからでもトレーニングで伸ばすこと ができます。トレーニングをいつから始めても遅くありません。
音楽に大切なこと
音楽に大切なことは、音名を言い当てることだけではありません。便利ですが、む しろそれはそれだけではないことがほとんどです。ハーモニー感、調性感、音の幅 などのニュアンスなど、音楽を相対的に比較して感じ取れる能力が大切です。その ためには前述した「相対音感」はとても有効な能力であるといえます。
大人の方で絶対音感を身につけたいと、この記事を読んでいた方は、年齢で能力が使いこ とを知ったと同時に、相対音感という素晴らしい才能を習得できる方法を知ったと思いま す。相対音感は日々の音感トレーニング(楽器演奏、歌う)で成長する能力です。
絶対音感は習うことができる音楽教室の特徴
絶対音感のトレーニングを行なっている音楽教室はどのような教室の特徴があるので しょうか。詳しくお話しします。
早期から受け入れてくれているか
絶対音感は遅くも6歳半までにトレーニングを終了させなくてはなりません。早期からピアノレッスンを受け入れている音楽教室などに相談してみると良いですね。 4-2絶対音感コースとして取り入れているか
例えばピアノ講師だからと言って全員が絶対音感トレーニングができるわけではあり ません。むしろ相対音感を重視する先生、音感についてはピアノレッスンに取り入れ ていない先生などさまざまです。絶対音感コースをうたっている音楽教室を探すこと がベストです。
絶対音感についての正しい説明ができる
4-2でお話したように、音楽教室、ピアノ講師も絶対音感への理解はさまざまです。 絶対音感の教室を探すなら、絶対音感への正しい理解と説明ができる教室、講師を探 しましょう。自己流や、なんとなくレッスンすると曖昧な絶対音感、点でしか覚えて いない絶対音感が身について、かえって不便になることも出てくるかもしれません。
絶対音感を身につけさせた実績があること
H Pなどで絶対音感のレッスンを調べるときに、実績なども見るようにして下さい。 また、実際通っている生徒がいる、生徒様の声などもあったらチェックしましょう。
絶対音感はトレーニングによってほぼ確実に習得できる能力です。正しいトレーニング方 法を知っている音楽教室、講師にトレーニングすることをお勧めします。
絶対音感は後天性、先天性のまとめ
絶対音感の後天性、先天性をお話ししてきました。わかりやすまとめてみました。
後天性と言って良い
絶愛音感は研究の結果で「先天性」ということがわかっています。しかし、生まれつき「ドレミ」(音階、音の仕組み)をわかっている人間はおらず、音を認識し「絶対 音感」として才能を発揮するためには、後天的にトレーニングをする必要がある、といえます。また、適切なトレーニングによってほぼ確実に絶対音感がつくことも明ら かです。
絶対音感の習得の方法
絶対音感は早期に正しいトレーニングをすれば、ほぼ確実につけることができま す。正しいトレーニングとは音楽教室で受けることが出来ます。絶対音感コースや 正しいトレーニングができる教師、講師からトレーニングを受けることをお勧めし ます。
大人でも取り組める音感
「相対音感」とは 6歳を過ぎると身につけることが難しい絶対音感ですが、音楽に重要な音感がもう1つあります。それは「相対音感」で、相対音感は何歳からも切り返し訓練するこ とで日々成長していくことがわかっています。また相対音感が身につくことで、音 楽のハーモニー感、調性感、音の幅などのニュアンスなど、音楽を相対的に比較し て感じ取れる能力が備わります。
絶対音感は先天的な才能ですが、その才能を埋もれたままにしてはもったいないです。後 天的にトレーニングし、着実にその才能を開花させることが大切です。