保育の中にリトミックを取り入れるべき!リトミックが幼児教育に良い理由。
保育園や幼稚園などでリトミックを行う園が増えてきてきます。幼児教育の現場でリトミックを取り入れている理由として、「リトミックは子供にとても良い影響がある」からなんです。具体的な理由と取り入れるべきねらいを詳しくお話ししたいと思います。
元幼稚園教諭、現役リトミック講師の私が解説します!
リトミックが幼児教育に良い理由
リトミックを保育に取り入れることには多くの利点があります。リトミックは音楽と動きを組み合わせた教育法で、以下のような面で子どもの発達に効果的です。
リズム感や音楽的感性の育成
リトミックでは、音楽を通じてリズム感を養います。リズムや音の変化に合わせて体を動かすことで、音楽的感覚が自然に身につき、表現力や想像力も高まります。
運動能力の向上
リトミックは音楽に合わせた動きを多く含むため、身体を使った活動が多くなります。これにより、バランス感覚や柔軟性、運動能力が向上し、全身を使った協調性も養われます。
集中力や反応力の向上
音楽のテンポや指示に従って動くことで、集中力や反応力を高めることができます。リトミックでは音の変化にすばやく反応することが求められるため、注意力が養われると同時に自己制御力も育まれます。
表現力や創造性の発達
音楽に合わせて自由に動いたり、感じたことを表現する場がリトミックには含まれます。これにより、子どもたちは自己表現の喜びを感じ、創造的な思考や感受性が豊かになります。
リトミックを保育に取り入れることで、子どもたちの音楽的感性、運動能力、集中力、社会性、表現力、そして情緒が安定します。これらは子どもの全体的な発達に非常に重要な要素であり、楽しく自然な形で身につけることができるのがリトミックの魅力です。
リトミックの課題とねらい
リトミックは音楽教育法で、各ねらいがあります。ねらいをわかりやすく説明しますね。
ビート感
音楽にはビートがあります。これは人間の心臓の鼓動と同じです。絶え間なく続くビート感を味わいながら、音楽を感じることが大切です。ねらいは、さまざまな音楽のビートを感じることにより正確なタイミングでの演奏などができることです。
リズム感
リズムとはビートの流れの中にできた動きのようなものです。それは音楽に躍動感や推進力、活動力を与えます。「思わずリズムによって体が動いてしまう」というのもまさにそのような効果があるからゆえです。幼児リトミックにおいて、発達段階にあわせたリズム遊びを取り入れることで、子どもたちのさまざまな能力の発達が促されるのです。またリズム感が身に付くと、スポーツの動きの理解力・飲み込みも早くなると言われています。
長調、短調の聴き分け
簡単に長調とは「明るい感じ」短調とは「暗い感じ」をいいます。音階の持つそのニュアンスを感じ、自分の経験と重ね合わせ表現することで、音の気持ちがわかります。ねらいは、音の狭まり、広がりを感じる事で音階が体で理解できます。後の音楽活動のソルフェ―ジュに役立ちます。
ニュアンス、ダイナミクスの表現
音の特徴、音域、広がり、狭まりを何度も体で表現します。表現の中で子供たちはどんなものにも、なりきって表現しようとするようになります。ねらいは、些細な音の変化にも気づき、細く音楽を分析できるようになります。そして、感情のこもった音楽表現ができるようになります。
拍子感
ビートを感じられるようになったら拍子を捉えます。これは楽曲を知る上でとても重要な事です。ねらいは、拍子のまとまりを感じられること、すると演奏や楽曲理解が深まります。
リトミックの課題はまだまだあります。そこには必ずねらいがあり、それは音楽を深く知るためにどれも有効なものばかりです。
保育の中で行うリトミックのやり方
実際に保育に取り入れられるリトミックのやり方を紹介します。
音楽に合わせて体を動かす
音楽を聴いて、音に合わせて体を動かして楽しみます。年齢によってできる動きが異なりますので、子どもたちが無理なくできる動きで楽しみましょう。0~1歳児は、音楽を聞いて「体を揺らす」ことはできるかもしれません。また、先生が一緒に楽しく体を揺らすことで、子どもたちも楽しい時間だと感じてくれるでしょう。2、3歳児になると、リズムに合わせて手をたたいたり、楽器を鳴らしたりすることができるようになります。音のテンポや強弱を変えることで、より活動の幅が広がるでしょう。4、5歳児になると、音や音階を聞き分けることができるようになったり、違いやニュアンスに気づく子供も出てきます。保育者が積極的にできたことを褒めることで、音楽が楽しいものとして意識することでしょう。
模倣遊びでニュアンスとダイナミクを感じる
動物や電車など、身近な物のまねをする「ごっこ遊び」は親しみやすく、また幼児期の子どもだからこそ楽しくできる表現方法の1つです。まねする物をモチーフにした曲を流すし、子どもたちもイメージしやすいでしょう。また、保育者が具体的な特徴を言葉や絵、イラストで伝えることで、より想像が広がり、細かな表現力も養われます。他にも、模倣するものの大きさ、力、特徴を表現することでダイナミクスが培われます。
リズム遊び
リトミックで重要な「リズム」。子供たちは身近なものの名前をリズムで表現したりすることで、リズムに馴染みができます。また音符にしたリズムではなく、話し言葉、ものの名前、オノマトペなどをリズムとして打つことで、体の芯からリズム感を養うことができます。様々な場面でリズム遊びを取り入れることは大切なことです。
集団で感じる音楽
保育園などでは集団でリトミック活動を行います。自分と他者がいることで行える活動を率先して行うことが大切です。自身が動いて感じること、他者が動いていることを見て感じること、両方を感じることは非常に大切です。また、たくさんの自分以外の友達と音楽で気持ちを合わせることは、集団でできるリトミックの醍醐味でもあります。
異年齢が在籍する保育園などでは、年齢によって活動も変わってきます。年齢に応じ、リトミックを展開していくことがポイントです。
保育でリトミックを行う際のポイント
子どもたちの成長や発達を促す効果が期待されるリトミックを、保育の現場に取り入れたい」と考えている保育者も多いのではないでしょうか。実際、リトミックを行う際のポイントをまとめてみました。
保育士自身が楽しむ様子を伝える
最初は、子どもたちも何をしていいか分からなかったり、恥ずかしがったりして、思うように楽しめないかもしれません。しかし、先生が笑顔で明るく楽しそうな声掛けをすることで、「何か楽しいことが始まるのかな?」と、子どもたちも安心し、積極的に参加してくれることでしょう。保育士自身がリトミックを純粋に楽しみ、音楽、音、さまざまな動きなどに対して、子どもたちが意欲的に取り組める雰囲気を作ることが大切です。
子どもの自由な表現を尊重する
子どもたちと何かをするときに大人が考えがちなことは、「こうしてほしい」という願望です。リトミックでも同じで、「こんな動きをしてほしい」という思いが頭をよぎることもあるでしょう。しかし、リトミックで大切なことは、「自分で考えて生み出した表現を楽しむこと」だといわれています。「こうでなければならない」という大人目線の考えは持たず、子どもの自由な表現を尊重し、伸び伸びと楽しめる環境を作りましょう。
ピアノなどの楽器を使う
リトミックとは即興が大切です。CDの音源ではお遊戯やダンスと変わりません。子どもたちの動きや流れを見て対応できるピアノや楽器を使い、即興演奏に心がけましょう。子どもたちの反応に合わせて対応することで、表現の幅を広げていくことができるでしょう。また、活動の内容にも柔軟さが出るので、保育士の意図する音楽を取り入れやすくなります。
保育士がねらいを正しく理解し進める
リトミックには必ずねらいがあります。そのねらいを保育士が感じ、理解した上でリトミックを指導して下さい。ねらいを理解するとおのずと、活動や声かけ、演奏も方向性が決まってきます。保育士が正しいリトミックの知識を知ることは、子供の成長にも関わってきます。
リトミックは幼児教育に大きな影響があります。保育士はその教育に携わるものとして、リトミックの正しい理解を深めて欲しいと思っています。
まとめ
保育にリトミックを取り入れるべき理由をお話ししてきました。簡単にまとめてみます。
保育の中にリトミックを取り入れるべき理由
リトミックは幼児教育にとても良い影響があります。それは子どもたちの音楽的感性、運動能力、集中力、社会性、表現力、そして情緒が安定します。これらの要素を楽しく自然な形で身につけることができるのがリトミックの魅力です。
保育の中で行うリトミックのやり方
音楽に合わせて体を動かすこと、音に合わせて模倣遊び、リズム遊び、集団で音楽を表現する楽しみを味わうことなどがあげられます。これらはリトミックにおいてのねらいがあり、そのねらいを楽しく伝えることがポイントです。
リトミックを行う際のポイント
様々な年齢に合わせた動きのリトミックをしましょう。リトミックには音楽的ねらいがあり、そのねらいを正しく理解した上で、保育士が率先して楽しんで参加することが大切です。また、リトミックは即興でおこなうものですので、生の音源(ピアノ演奏など)でおこなうようにしましょう。
子どもたちの可能性を大きく広げてくれるリトミックは、音楽的要素だけではなく、身体機能、集中力、表現力など、さまざまな面でも発達をサポートしてくれます。幼児期の敏感な時期だからこそ、リトミックのメリットを生かした保育を取り入れることで、子どもたちの園生活は、より充実したものとなることでしょう。