リズム感が良いのは生まれつきの才能なの?遺伝?リズム感が悪い人がやってしまっていること

リズム感の良い人って羨ましいなと思っている方いませんか。音楽をするにも、ダンスをするにも、歌を歌うにもリズム感は非常に重要です。また、リズム感が良いと、運動、勉強にも良い影響が出るほどなんです。ではそのリズム感とは生まれつきなのでしょうか。また家族からの遺伝なのでしょうか。「私はリズム感が悪いから」と思っている方は、もうリズム感は良くならないのでしょうか。答えは「いいえ」です。リズム感は向上させることはできます。では、リズム感は悪い人はどんなことをしてしまっているのか、現役リトミック講師が詳しく解説したいと思います。

リズム感、よくしたいな・・・
リズム感は生まれつきじゃない
リズム感が「遺伝」によらないと考えられる理由を解説します。
後天的な経験とトレーニングが重要
リズム感は後天的に強化できるもので、練習や経験を通じて発展することがわかっています。たとえば、リズムに合わせて手拍子をしたり、ダンスをしたり、楽器を演奏したりすることで、リズム感は確実に向上します。このように、特定の経験や環境がリズム感に大きな影響を与えます。
神経の柔軟性が関係する
リズム感には、聴覚と身体の動きを同調させる脳の働きが関係しており、これらは可塑性(プラスチック性)と呼ばれる脳の柔軟性によりトレーニングで向上します。たとえば、音楽教育やダンストレーニングなどの経験によって、脳内のリズム処理能力が発達することが知られています。遺伝的な要因が少なく、脳は新しいスキルを学ぶことに適しているため、リズム感も後天的に改善可能です。
文化や環境の影響が大きい
生まれ育った文化や家庭環境もリズム感に影響します。音楽やダンスが日常生活に溶け込んでいる文化では、リズム感が自然に発達しやすく、そうでない環境では発展しにくいことがあります。たとえば、幼少期から音楽教育を受ける環境にいると、リズム感がより発達しやすくなります。


遺伝的要素が明確に証明されていない
リズム感と遺伝の関係を示す決定的な遺伝子は発見されておらず、遺伝がリズム感に与える影響ははっきりしていません。多くの研究で、リズム感が訓練によって向上できることが示されており、特定の遺伝子がリズム感に直接影響しているという証拠は乏しいです。
このように、リズム感は遺伝よりも経験、環境、トレーニングといった後天的な要素によって大きく影響されると考えられています。
リズム感が悪くなってしまう原因
リズム感が悪くなってしまう原因として考えてみました。
リズムに触れる機会の不足
音楽やダンスといったリズムを意識する活動に触れる機会が少ないと、リズム感が発達しにくくなります。リズム感は日常的なトレーニングや反復によって鍛えられるものであり、触れる機会がないと自然と鈍りやすくなります。
集中力や注意力の低下
リズムに合わせて動いたり音楽に集中したりするには、注意力が必要です。日常生活で疲労がたまっていたり、集中力が低下していたりすると、音楽のビートを捉えることが難しくなり、リズム感も悪化しがちです。特に、睡眠不足やストレスがたまっていると影響を受けやすいです。
聴覚や運動機能の低下
年齢を重ねたり、聴覚や運動機能に関わる疾患が生じると、リズム感が低下することがあります。リズム感には聴覚と身体の協調が重要なので、これらの機能が低下するとリズムを捉えるのが難しくなる場合があります。音楽やビートの微妙な変化に気づきにくくなり、リズムに合わせた動きも取りにくくなります。


不安や緊張といった心理的要因
人前で演奏やダンスをする場面など、緊張や不安を感じる状況では、普段できるリズム感も鈍ることがあります。心理的にリラックスしていないとリズムをしっかりと感じるのが難しく、動きがぎこちなくなったり、タイミングがずれてしまうことがあります。
これらの原因はすべて、改善や対策が可能な要素ですので、環境やトレーニング、リラックス方法などを取り入れることで、リズム感を再び向上させることができます。
リズム感の悪い人に共通すること
リズム感の悪い人に共通するなと思うことがあります。その特徴をお話ししますね。
音楽やリズムを意識することが少ない
幼少期から音楽やダンスに触れる経験が少ないと、リズム感を育む機会も減少するように思います。それは「音楽」自体を細部にわたり意識することが少ないためです。そのため、リズムに合わせて動いたりビートを刻むのが苦手になりがちです。逆に、音楽が身近にあり、細部まできく訓練をしている環境では自然とリズム感が培われやすくなります。
身体と音を一致させるのが苦手
リズム感が悪い人は、音を聞いても体がスムーズに反応しづらい傾向があります。聴覚と運動がうまく連携できないため、音に合わせた動きや手拍子がぎこちなくなったり、タイミングがずれてしまうことが多いです。
注意力が散漫になりやすい
リズム感には音楽のビートを持続的に感じ取る集中力が必要です。しかし、注意力が散漫になりやすい人は音楽のリズムに意識を向け続けるのが難しく、テンポがずれたり、リズムを感じ取るのに苦労することが多いです。
苦手意識を持っている
リズム感が悪いと感じる人の中には、「リズム感がない」と思い込んで苦手意識を持っている場合もあります。この意識がかえって緊張を生み、さらにリズムに乗りにくくなります。リズムを感じることへの抵抗やプレッシャーが、結果としてリズムに乗ることを難しくしてしまいます。


これらの特徴はあくまで一般的な傾向であり、リズム感は練習やトレーニングによって改善できる部分が大きいので、適切な方法を取ることでリズム感を向上させることが可能です。
「リズムが悪い」は改善できる?
「リズム感が悪い」と感じる人も、適切な方法で練習すればリズム感を改善することが可能です。すぐできる簡単な方法を4つご紹介します。
メトロノームを使った練習
メトロノームを使って、一定のテンポに合わせる練習をすると効果的です。メトロノームに合わせて手拍子をしたり、足でステップを踏んでリズムを体感することで、リズムの安定性が向上します。最初はゆっくりしたテンポから始め、慣れてきたら徐々にテンポを上げていくのがポイントです。
リズムに合わせて体を動かす
リズム感は聴覚だけでなく身体全体で感じ取ることが大切です。音楽に合わせて手を叩いたり、足踏みをしたりして、全身でリズムを感じましょう。リズムに合わせた動きが自然にできるようになると、リズム感が身につきやすくなります。ダンスのレッスンなども有効です。
簡単な楽器でリズムを刻む
ドラムやカホンといったリズム楽器を使って、リズムを刻む練習も効果的です。楽器を使うと音を出すタイミングを明確に意識できるため、リズムをより意識しやすくなります。初心者でも扱いやすい楽器から始めて、様々なリズムパターンを試すことでリズム感が鍛えられます。


リズムトレーニングアプリやゲームを活用する
最近ではリズムトレーニング専用のアプリやゲームも数多くあります。こうしたツールでは、テンポに合わせて画面をタップしたり、音に合わせてリズムを取る練習ができ、ゲーム感覚で楽しみながらリズム感を養うことができます。反復して楽しみながら取り組むことで、無理なくリズム感が向上します。
このように、日々、音楽、リズムを感じることを意識して、少しずつ練習を重ねることでリズム感は確実に改善していきます。
まとめ
リズム感は生まれつきだけで決まるわけではないことがお分かり頂きましたか。その理由を原因、リズム感を良くする方法などを簡単にまとめてみます。
リズム感の良し悪し生まれつきじゃない
リズム感の良し悪しは、幼少期からの音楽体験や練習、環境など後天的な要素が大きく影響するため、生まれつき決まるものではありません。聴覚処理や運動制御など、脳内のいくつかの異なる領域が関わっており、生まれつきリズムを取るのが得意な方はいるとは思いますが、練習によってリズム感を向上させることも十分可能です。
リズム感が悪くなってしまう原因と共通点
リズム感が悪くなる原因と、それに共通する特徴としては、まず「音楽、リズムに触れる機会が少ない」ことがあげられます。幼少期から音楽やダンスなどのリズム体験が少ない環境で育つと、リズム感が育ちにくくなります。また、注意力や集中力の低下もリズム感に悪影響を与え、音楽のビートに継続的に意識を向けるのが難しくなることで、テンポがずれたりリズムを感じ取るのが困難になります。
リズム感を良くする方法
リズム感が良くするには、聴覚と身体の動きを協調させることが必要です。これは訓練や経験によって向上することが分かっています。音楽に合わせて体を動かす練習やメトロノームを使ったトレーニングなどを繰り返すことで、リズム感は鍛えられます。


リズム感は生まれつで決まってしまうものではありません。ぜひ、リズム感が悪くて悩んでいる方、お子様にリズム感を良くさせたい親御さんがいましたら、「音楽」に触れる経験をたくさんさせてあげることがポイントですね。