高齢者が若返る!シニアリトミックに驚くべき効果が。高齢者に受けて欲しい理由。
近年、高齢者へのリトミックが浸透してきたように思います。介護施設や、福祉施設で「シニアリトミック」を担当する事がある私は、その効果と、高齢者の方のイキイキした姿に圧倒されています。今回は高齢者にぜひ受けてほしい「シニアリトミック」の内容とその驚くべき効果、理由をお話ししたいと思います。
シニアリトミック、驚く効果があるんです!!
シニアリトミックってなに?
高齢者に向けたリトミック、「シニアリトミック」。リトミックをご存知ない方にも、わかりやすく解説します。
リトミックとは
リトミックとは今から100年以上前、スイスの音楽教育家・作曲家、「エミール・ジャック=ダルクローズ」によって創案された音楽教育法です。リトミックとは音楽に合わせ身体を動かし、そのエネルギーを感じる方法として有効です。音楽は音階やリズムが集まり、作られるエネルギーの集まりです。それをリトミックでは体で表現します。表現にはスペースを使い、時間の経過とエネルギーを感じます。これを繰り返し表現することで音楽を体の芯から理解することになります。音楽と動きを通して、それぞれの人が持っている可能性を引き出すメソッド(方法)としても注目され、今では子供の早期音楽教育法として、人気があります。
シニアリトミックのはじまり
高齢者へのダルクローズリトミックが注目されたきっかけは、2004年のことです。スイス、ジュネーヴにあるジャック=ダルクローズ音楽院には、当時、高齢者のリトミッククラスが1クラスだけありました。そのシニアリトミックの様子を偶然見た、ジュネーヴ大学病院老年医学者、レト・W・クレッシグ教授 は、高齢者の自然で確信を持った身体の動きに大変驚きました。このことがきっかけとなり、ジュネーヴ大学病院とジャック=ダルクローズ音楽院が共同して、高齢者におけるダルクローズリトミックの効果に関する研究がスタートしました。
高齢者とはどんな人
高齢者とは65歳以上の年齢の方を指します。高齢者の特徴としては、新しいことを覚えたり、直近の出来事を記憶したり、過去のことを思いだす力が弱まります。このほかに、ものごとへの注意力や集中力を保つことが困難になっていきます。また、筋力の低下などからADL能力が低下しやすいのも特徴です。ADL能力とは、移動や排泄、食事、入浴などといった日常生活動作のことで、ADLが低下すると、高齢者の活動性の低下につながり、寝たきりなどの問題を引き起こすことがあります。さらに、高齢者が病気にかかると合併症や、病気が重篤化しやすいという特徴もあります。
リトミックについて説明しました。また高齢者のリトミックの始まりや、高齢者の特徴もおわかりいただけたのではないでしょうか。
シニアリトミックで得られる驚くべき効果
音楽教育の手法として生まれたリトミック。これを、音楽療法の観点から認知症予防に効果的になるよう応用したものが「シニアリトミック」です。音楽を使って「体と心と脳」を刺激します。最近では老人ホームや介護施設などでも多く取り入れられており、人気のレクリエーションの一つです。
転倒リスクの軽減
高齢者における筋力の衰え、そして足腰の弱りからくる転倒リスクをシニアリトミックを定期的に行うことにより、平衡機能、歩行機能を改善し、転倒のリスクが約 50%も減少する、という驚きの研究結果が得られました。そして、なんと2021年には、他の介護予防プログラムと比較しても、シニアリトミックのほうが転倒のリスクを 減少さることもわかりました。
転倒により寝たきりになることもありますよね・・・
認知機能の改善、予防
脳活性が期待できるリトミックでは、認知機能改善させることも明らかになりました。聴いて、考え、身体を動かす活動は、常に脳に刺激を与え、認知機能が向上するとも言われています。心地よい音楽に合わせ無理なく脳育できるのもシニアリトミックの効果です。
身体的機能の改善
2-1でもお話ししたように、転倒リスクを軽減できる効果のあるシニアリトミック。筋力を増進し、反応しやすい身体を作ります。繰り返し行うことで、筋力アップ、反射能力が向上します。
社会性の向上
高齢化社会の日本では現在、独居による孤立や経済的困窮、社会的な交流が減少することによる孤独の状態が問題視されています。加齢によって社会とのつながりが薄れることなどが大きな要因となります。家にばかりいると人と接する機会が減り社会的虚弱が加速してしまいます。趣味のサークル活動に参加したり、町内会やボランティア活動に参加したりするなど、外出して人と交流する機会を増やすことが大切です。社会参加をすることで、顔見知りができ、自分の居場所があることによって生活に活力も出てきます。まさにその場になるのがシニアリトミックなのです。
高齢者の悩みを解決してくれるリトミック。ぜひ積極的に参加して頂きたいですね。
シニアリトミックってどんな事をするの?
実際、シニアリトミックはどのような事をするか解説しますね。
音楽に合わせてリズミカルに動く
まずは生演奏に合わせて無理なく身体を動かしていきます。ダンスや遊戯ではないので特定の同じ音源(CD)に合わせてではありません。そこがポイントです。音楽があり動きがある、動きがあるから音楽がある演奏を心がけているシニアリトミック講師のピアノ演奏は、身体と心にとても気持ちよく染み込みます。また、弾んだテンポやリズムを使い自然に身体がリズミカルに動きたくなる高揚感もあります。音楽がもたらす身体への影響が大きく関わっています。
気持ちの良い刺激
音楽に合わせて動くとこは、思っている以上に気持ちの良いものです。また身体だけではなく心も動くような感覚になります。その刺激は自発的に動きたくなる作用もあるのです。なかなか自発的に動くことが少なくなって高齢者にとって気持ちよく動けることは、貴重な機会になります。また、身体が動く活動では脳も活性化され前述した、認知能力の維持、向上につながります。
音楽に合わせて体を動かすことって、本当に気持ちが良いんです!
誰でも無理なく楽しめる
積極的に身体を動かす事を話してきましたが、それは無理のない範囲から行うことを基本にしています。椅子に座った状態から、身体の各所を少しずつ動かしていきます。これも既成の音楽ではなく、即興演奏で行うリトミックだからこそ、その場の状態に合わせることができる最大のメリットです。
高齢者に合わせた無理のないシニアリトミック。「どんな事をやるの?」と不安だった方も少し安心したのではないでしょうか。
シニアリトミックを受けられる場所と費用
ここまでの記事を読んで、「シニアリトミックをやってみたい!」と考えた方もいるのではないでしょうか。「どこでやっているの?」またその際に気になるのは「お金」のこと。中には「年金暮らしなのに、趣味にお金を費やすのはもったいない。」と考えている方もいると思います。受けられる場所や、費用の事をお話しします。
市町村のイベント
市町村では高齢者のための「フレイル予防運動」をしている地域が増えてきました。フレイルとは、「虚弱」という意味で、市町村は高齢者のあらゆる虚弱を予防する活動を展開しています。市町村のイベントは単発のものが多いですが、お試しで参加でき初回には最適かもしれません。市町村の広報誌などに募集要項がのっていることが多いです。また市町村のイベントですから、ほとんどは無料の事が多いです。
シニアリトミック教室
音楽教室でもシニアクラスを取り入れ、高齢者の音楽に力を入れている教室は増えてきました。シニアピアノ、シニアウクレレなど楽器演奏も脳トレにとても良い作用があります。シニア〇〇とうたっている音楽教室はシニアリトミックをやっているかもしれません。また、インターネットで「シニアリトミック」と地域名などのキーワードを入力すると、シニアリトミックレッスンを行なっている音楽教室が見つかるかもしれません。費用は習い事としての月謝の相場くらいでしょう。ですから月額で¥3,000から¥8,000くらいのところが多いのではないでしょうか。
サークル活動や、生涯活動に参加する
安心して定期的に参加できるのが地域や自治体が行なっているサークルやクラブ活動(生涯学習)です。参加費用も数百円から高くても数千円程度のものが多く、気軽に行うことができます。これらの情報は、町内会の掲示板もしくは、市区町村が出しているフリーペーパー、近くの文化センターなどで情報が手に入ります。現在、サークル活動においては音楽系の活動以外にも、茶道や華道などの文化系のものや、卓球やゲートボールなどの体育系のものなど、さまざまな種類があり驚かされます。ところが、インターネットでの情報は少なく、さらに区役所などでも情報を管理していないため、足を使って情報を得るしかありません。見つけるのは難しいかもしれませんが、意外と多くの団体を見つけることができるはずです。インターネット上で情報を探す際は「生涯学習」や「文化センター」というキーワードでも、サークル活動の情報が見つかるかもしれません。
シニアリトミックに積極的に参加するということは、社会とのコミュニケーション活性の場にもなります。高齢者の孤独を解消し、明るい毎日を過ごす事ができます。
シニアリトミックの効果とその理由のまとめ
高齢者とリトミックの関係は、こんなに深い意味があったんですね。シニアリトミックとその効果、理由についてまとめてみました。
高齢者に良い理由
高齢者がリトミックをすることによって得られる効果は以下の通りです。
- 転倒リスクの軽減
- 認知症の改善、予防
- 身体的機能の改善、予防
- 社会性の向上
高齢者に起こりやすい介護予防に、有効な効果が出ています。
シニアリトミックの内容
音楽に合わせ身体を無理なく動かすことで、心身ともに心地よく行えるのがシニアリトミックです。その方に合わせたレッスンが受けられるのがシニアリトミックの特徴です。
シニアリトミックが受けられる場所
市町村でのイベント、音楽教室、地域のサークル活動や生涯活動でも行なっている場合があります。費用は、無料のものから定期的に受ける月謝制で、数百円から数千円/月、くらいの事が多いようです。
シニアリトミックが介護予防に良いことは、音楽療法の視点からも注目されています。どんどんチャレンジしてみましょう!いつまでも熱中できる何かを持つことが、一番の介護予防だと思います。年齢を気にせず、積極的に人生を謳歌してくださいね!