何人に1人?あなたに絶対音感はある?絶対音感の秘密完全解説
絶対音感って神秘的な才能に思えます。実際どのくらいの方に絶対音感があるのでしょうか。また自分のお子さんに絶対音感があるのか?遺伝なのか?など気になりますよね。
また、まわりに「絶対音感がある」という人がいる方もいるかもしれません。テレビやYouTubeなどで耳コピしている方はみんな絶対音感があるの?など、神秘的な割にまわりに絶対音感を持っている人が結構いたりしませんか?
絶対音感の割合、絶対音感の定義などを詳しく解説していきます。
絶対音感の持ち主の割合
「絶対音感を持っている」という方はいらっしゃるのではないでしょうか。調査統計では、0.2から0.5%が“絶対音感保有者”ですが、直感的にはもっと多くいる印象があります。知人の中に“絶対音感保有者”がいるということも、決してめずらしくありません。
生まれつきの場合
絶対音感の割合は100年以上前から、多くの調査がおこなわれてきました。結果はそのほとんどが、1%未満の数字を出しています。よく引用されるアメリカの調査研究は、生まれつき絶対音感を持っている人は20万人に一人と報告しています。非常にめずらしい能力であることは、間違いありません。
日本人の絶対音感を持っている人の割合
日本ではピアノ教育がさかんであることや、絶対音感目的のトレーニングを受ける子どもも多いことから、諸外国にくらべ絶対音感を持つ人が多いことが知られています。
ピアノの普及と習わせる時期の早期化の影響
上述で日本での絶対音感を持つ人が多い理由として、ピアノ教育のさかんさがあげられますが、その時期も重要です。早期化が進み今や3歳でピアノを習うお子さん、生まれて間もない0歳からリトミックレッスンに通うお子さんなど、音感教育は耳の形成が目まぐるしい0歳から6歳半に集中しています。このことが絶対音感を持てる鍵になっているようです。
習得するトレーニングがある
絶対音感は適切にトレーニングをおこなえば、ほぼ確実に身につけることができる能力です。しかし条件が2つあります。1つ目は、年齢が6歳半以下であることです。6歳半こえますと、トレーニングをおこなっても効果を上げることはできません。2つ目は、相対音感が身についていないことです。相対音感の「相対」とは、「比べる」という意味です。前の音との幅を見積もって、音をあてること、音階の枠組みを利用して、音をあてることが相対音感です。 絶対音感と相対音感は、音の判断の仕方がまったく違います。
絶対音感はめずらしい才能であることと同時に、早期教育で身に付く能力であることもわかりました。
絶対音感テスト方法
絶対音感であるか下記のテストを全問正解できるかで判断できます。絶対音感をお持ちと思われる方はチャレンジしてみて下さいね。
音あてテストの正しいやり方
様々な音を1音、1音、その都度、回答を言わずに100%当てられるか?
1音ごとに回答を伝えると、次第に前音との隔たりを考慮し相対的な回答になってしまいます。
88鍵盤全ての音を響き(クロマ)で認識できるか
絶対音感の定義は、突然きこえた楽器の音が音名で分かることです。おおよそとして、ピアノの鍵盤にある88音が、すべて分かるレベルが絶対音感です。すべつの音域で出題しましょう。
白鍵だけで出題しないこと
白鍵だけの出題だと、ハ長調に聴こえてくる恐れがあります。したがって調性感を感じてしまい、無意識に相対的に聴き取ってしまいます。出題は白鍵、黒鍵、ランダムに出題しましょう。
正しいテストの仕方がわかったと思います。確実な絶対音感はなかなか難易度が高いものです。
絶対音感とは限らない場合とは
実は、自称「絶対音感を持っている」と思っていても、正しくない場合もあります。
例をあげけみます。
「耳コピ」ができる
耳コピをするときは、聴いた音を次々に音の比較をしていけば出来上がるもの。音の高さを比較して「同じ位の高さだ」と判断できればいいです。つまり比較して音を探っていけば耳コピは出来ます。耳コピは相対音感と言えるでしょう。
1音1音正解を伝えながら進めていくテストで全問正解する
2-1でもお話しした、音当てテスト、これを1問ごとに「ピンポーン」などと正解伝えてしまうとその音を基準に次からのテストの音を比較し始めてしまう可能性が出てきてしまいます。これはズルしているわけではなく相対音感を持っている人が無意識にしてしまう事です。絶対音感を見極めたいなら答えは伏せて音名を答えていきましょう。
伴奏なしでもいつも同じ音程で歌うことができる
伴奏なしで歌いはじめて、いつも同じ高さで歌える人がいます。これは、絶対音感を持っているかのように見えますが、そうとはかぎりません。絶対音感を持つ人は当然、基準音をきかなくとも、正しい高さが分かり、正しい高さで歌うことができます。しかし、絶対音感がなくとも、正しい高さで歌える人がいます。それは、日常的によく歌を歌う人です。歌いなれた歌の場合、声帯で「いつもの感じ」が分かるのです。これは音が分かっているのではなく、声帯の感覚が手がかりになっています。もちろん、絶対音感ではありません。こうした力は、「仮性絶対音感」と呼ばれ、本物の絶対音感とは区別されています。
絶対音感と相対音感は、音の判断の仕方がまったく違います。どちらが優れているといった話ではなく、どちらも音楽活動をおこなう上で、重要な能力です。
絶対音感は遺伝なのか?
バッハ、モーツァルト、ベートーベンは、絶対音感の持ち主であったといわれています。天才作曲家が持つ絶対音感。能力が先天性か後天性については、これまで明らかにされてきませんでした。
先天性である研究結果
トロント大学とデラウェア大学の共同研究チームは、「絶対音感」についての最新の研究結果を医学誌『ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス』に発表ました。それによると、絶対音感は遺伝学的に先天性のものであることが判明ました。
遺伝であっても認識しなければ絶対音感は意味がない
絶対音感は、先天性(遺伝)によるものであることが明らかになりましたが、逆に先天的に能力を持っていても、それがうまく使えなくては全く意味がありません。例えば、木の棒があるとします。その木の棒の長さが何cmか、普通見ただけでは分からないですよね。だいたいの長さは分かるかもしれませんが正確な長さを言い当てるのは難しいです。それを見ただけでミリ単位まで言い当てる、絶対音感がある人はそんな感じです。つまり、音に対してそうした場面がなければ先天的に絶対音感を持っていても、自分の中に秘めたもので終わってしまいます。トレーニングや音楽活動をすることで、絶対音感を認識し、際立ち、役に立つ場面が多くなるのです。
音感教育について
音の高さ、周波数、音の長さ、音の色彩、音色 、音の大きさ、音の方向、これらを感じたり判定する能力はすべて音感です。人の感覚、聴覚は、遺伝により形成される耳・神経・脳によって決まると言われていますから「遺伝が9割」と言われるのも納得です。しかしその上で音感教育は、音を聴いて、高さや響きを感じ音階にあてはめるトレーニングをします。 聴覚が正常であれば、音感は音楽的な学習で習得されるということです。
人間の能力はすごいですね。遺伝により持って生まれた才能、トレーニングによってどこまでも開花する才能、どちらにしても有効に使って欲しいものです。
絶対音感を持っている人のまとめ
絶対音感を持っている人の見抜き方
めずらしい能力でありながら、「絶対音感を持っている」という方は結構いらっしゃいます。それは相対音感の事を勘違いしていたり、仮性絶対音感だったりします。しかし絶対音感を持っている人が偉いのでなく、どんな音感でもそれは音に対して(見えないもの)の感覚が優れている証拠です。もちろん本物の絶対音感をお持ちの方は素晴らしい才能の持ち主だと思います。
絶対音感は習得できる能力
6歳半までのトレーニングによって習得できることも驚きです。子供の臨界期(人間の脳の発達が幼児期においてある刺激が与えられたとき、その効果が最もよく現れる時期)はすごい可能性を秘めています。
昔、神秘的な才能だった絶対音感。現代の音楽教育の普及により多くの方にその才能があることがわかってくるのではないでしょうか。