絶対音感を持っている日本人の割合は世界的にみても多い!その理由と特徴
絶対音感をもっているという方がまわりにいたりしませんか?絶対音感は珍しい才能と言われている割に、身近にいたりすることがあります。実は日本人は絶対音感をもっている割合が多いと言われているんです。それはなぜでしょうか。今回はその理由と、特徴を詳しく解説します。実際に絶対音感トレーニングをしている私なりの考えをまとめてみました。
詳しく解説しますね!
絶対音感をもっている方の割合
まわりに「絶対音感をもっている」という方はいらっしゃるのではないでしょうか。調査統計では、0.2から0.5%が“絶対音感保有者という少ない割合から神秘的な才能として意使われる絶対音感。しかし実際にはもっと多くいる印象があります。知人の中に“絶対音感保有者”がいるということも、決してめずらしくありません。正しい割合を環境別にみてみましょう。
生まれつきの場合
生まれつき絶対音感をもっているという方は20万人に1人と言われ、割合は0.0005%ほどと大変珍しい才能である事がわかっています。これは生まれつきの場合であることを覚えていて下さい。
楽器演奏を専門にしている方や、音大生の場合
音楽を専門として日常的に行っている方や、音楽学生であれば大体5~6割の人が絶対音感を持っている、と言われています。これは幼い時から継続的に音感教育を行い聴覚が発達していることから言えます。
一般の方の割合
一般の人で絶対音感を持っている割合は、大体3%くらいと言われています。100人いれば3人は絶対音感を持っている人がいるということですね。これは、幼い頃、音感教育を受けた、ピアノを習っていたなどの経歴がある事がほとんどで、絶対音感は聴覚の発達時に何らかの音感教育の習慣を行っていたと考えられます。
日本人と外国人の絶対音感の割合
日本、中国、ポーランドの音大生を集めて絶対音感についての調査を行った研究があります。結果、90パーセント以上の正答率だった生徒は、日本約6割、中国約2.5割、ポーランド約1割(ショパンの生まれた国)と言う結果だったそうです。他にも、西洋諸国は絶対音感の割合が低いと言う記事があります。
絶対音感を持っている方の環境はさまざまで、おかれた環境で割合が変わることがわかりました。一般的に希少な才能と言われているのは、生まれつき絶対音感を持っている人のことを指し、音楽環境にいる人や、音楽教育を受けた人が持っている割合は増えることもわかりました。
絶対音感をもつ日本人が多い理由
絶対音感をもつ日本人は多いと思います。それは環境がったり、経済成長が関係したり、私たちが話す「日本語」にルーツがあったりします。その理由を解説します。
音楽教育の発達
日本での楽器普及率に関する調べでは、日本のピアノ人口は200万人とされています。 その内訳は子供が8割を占めており、子供のお稽古事としてピアノを習っている家庭はかなり多いです。また聴覚の発達が目覚ましい幼児期に習うとあって、絶好の音感トレーニングが自然とできていると考えます。
絶対音感を習う機会が多い
子供のお稽古事としてピアノを習っている家庭はかなり多いとお話しをしましたが、また絶対音感に憧れ、絶対的な価値を求める傾向にあるのも日本人の特徴だと思います。ですから、明確に「絶対音感トレーニング」を受けているお子さんも多いのは確かです。これは親が子育てに熱心である事、経済的に恵まれていることも要因の1つではないでしょうか。
楽器の普及
日本における楽器の普及は高度経済成長が背景にあると考えます。1970年代、当時の楽器店の方は「飛ぶようにピアノが売れた」と語っていました。現在、日本のピアノ家庭普及率は約25%で、これは世界的にも高水準です。県別の割合では30%を超えている県もあります。まわりにも「誰も弾いていないけど、うちにもピアノはあるよ」という人も少なくないと思います。ピアノは日本の各家庭が裕福になっていく「象徴」のようにも思います。おかげで、「音」が身近になりました。音感教育に良い環境といえます。
声調言語
カリフォルニア大学サンディエゴ校が発表した研究結果によると、「東アジアに絶対音感をもっている人の割合が多い」との事。理由は言語に関係しているという事で、その言語の特徴は「声調言語」が多いというのです。声調言語とは同じ発音に見えても実は音の高低(抑揚)があり、その違いによって意味が変わるタイプの言語のことを“声調言語”と呼びます。私たちが話す日本語は「同音異義語」がとても多いです。例えば、何の文脈もない状態で「はし」という言葉をひらがなで書くだけでは、「橋」なののか「端」なのか「箸」なのか区別できません。しかし、話す場合それを抑揚によって区別し、また聴き取ることができます。その能力が高い東アジア人は(日本人)絶対音感をもっている割合に関係するのではないでしょうか。
音感を習得できることは、非常に恵まれている証拠です。音楽が身近にあること、言語の影響などが深く関係していたとは驚きです。
絶対音感は「記憶」の一種?
絶対音感は聴いた音の音名を言い当て(分かる)ます。それは完全に聴こえる音を記憶していることになります。
音の記憶
音の高さを、記憶して音階と照合することで行うのが絶対音感。 ピアノを使って、各音の響(クロマ)の記憶に固定するのが絶対音感の訓練でもあります。 この音高の絶対的な聴き方の能力は、幼児期を過ぎると失われるとされています。理由は「聴覚の成長の衰退」「脳の発達によるもの」「成長すると思考力が向上し音の関係を考えられるようになる」なども理由で、音感的に真逆に位置する「相対音感が向上する」ことで、絶対的な音の記憶が阻害されるとも言われています。
語学能力と絶対音感
絶対音感の「音を音のまま認識する能力」と「聴いた音をそのまま記憶にとどめて思い出せる能力」は言語の習得にも役に立ちます。言語は子供の頃に耳で記憶していきます。読み、書きが出来ないうちからそれは当たり前のように発音し聴き取ります。絶対音感もある種、そのような仕組みだと私は考えます。乳幼児期に習慣的に聴き取り定着することで、聴覚の記憶に刻まれるということです。
後天性と考えるべき
トロント大学とデラウェア大学の共同研究チームは、「絶対音感」についての最新の研究結果を医学誌『ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス』に発表ました。それによると、絶対音感は遺伝学的に先天性のものであることが判明ました。しかし言語も生まれた瞬間から話す赤ちゃんがいないのと同様、絶対音感も後天的に記憶(習得)するものだと私は思います。乳幼児から聴覚の発達が目覚ましい6歳半までの音の記憶術ではないのでしょうか。
絶対音感と聴覚の記憶は深い関係があると思っています。低年齢からの習慣で確実な音の記憶ができる=絶対音感なのでないでしょうか。
絶対音感は必ず有効な音感ではない?!
絶対音感は1つの聴力の才能です。また、日本人に多い理由も解説きてきました。しかし生まれつきもち合わせた人の割合を見るとそれは神秘的な能力のイメージを払拭できない部分もありますよね。そのことから絶対音感を「神の能力」「最強の能力」と思っている方も多いです。
神秘的なイメージが浸透していますよね。
絶対の音感?
日本では絶対音感の絶対とは、完璧、素晴らしい、という意味に取られることが多い気がします。しかし絶対音感の絶対とは「他と比べることのない絶対的な聴き方」の「絶対」の意味を持ちます。ですから特別に「素晴らしい」とか、「完璧」とかの価値観はないということです。
絶対音感をめぐる誤解
一般的に、例えば「ラ」と言う音は1つしかないと思われがちですが、実はそうではありません。音の振動数を表すヘルツでいうと、現代のラは440Hzと国際基準では定められています。しかし実際438Hzになってもラです。吹奏楽などでは、「ラ」を442Hzにする場合もあります。440Hz付近のヘルツは大体ラなのです。ちなみにバッハなどの時代にですと415Hzがラと言う音でした。これは実際に聴いてみるとかなりの差で、半音近い差があります。つまり400年前のラの音は今のラ♭の音ということになります。しかし、絶対音感をもっている人は、「440Hzがラだ!」と認識します。(正しい絶対音感トレーニングで習得した人はそうはなりません)
つまり、数Hz違う音でも違和感を感じてしまいます。ところで、クラシック音楽の現場では、それぞれの作曲家ごとにラのピッチが変わります。現代作曲家なら440や442Hz。バロック音楽なら415Hzなど。音感のない人でさえ、半音の違いは鮮明に認識できるほどですから絶対音感がある人はかなりの差に違和感を感じることは想像に難くありません。と言うことは、絶対音感はむしろ音楽活動の妨げになってしまうこともあるということです。
音楽的に絶対音感と相対音感はどちらが良い?
絶対音感を持っている人の割合が少ないがゆえに、何よりも優れた能力と思われがちですが、絶対音感の真逆に位置する相対的な聴き方ができる「相対音感」の能力も備わってこそ音楽活動は有利になってきます。
音楽的なセンスは絶対音感だけではなりません。実際、名だたる指揮者、ピアニストなどの音楽家でも絶対音感を持ち合わせていない方はたくさんいます。また、欧米人は絶対音感ではなく相対音感をもっている割合が高いです。
絶対音感をもっている日本人は多い、理由と特徴のまとめ
絶対音感をもっている確率が高いことは、なんだか誇らしいことであります。その理由や特徴を知っておくと納得できるかもしれません。
なぜ日本人は絶対音感をもっている割合が高いか。その理由と特徴
日本人が絶対音感をもっている割合が高い理由は大きく3つあると考えます。1つ目は音楽教育が盛んである事、2つ目は身近に楽器(環境)が揃うという経済的な豊かさ、3つ目は日本語の言語に特徴があるということ。様々な要因が重なり絶対音感を習得しやすい国であることがわかりました。
絶対音感は音の記憶
私の見解では、聴覚の発達が目覚ましい乳幼児期の「聴覚の記憶」も含まれると考えます。これは正しい母国語を覚えるステップと一緒で、習慣的に何度も聴きトレーニングすることで身につけられる才能で、またその才能は一生なくなることがなく無意識レベルで身につくと考えます。
音楽と絶対音感の関係
絶対音感と聞くと、天才音楽家というイメージもあるかもしれません。しかし、音楽に大切なのは絶対音感だけではありません、絶対音感の真逆に位置する相対音感も音楽活動には重要な能力です。
絶対音感をもっている日本人は、恵まれた環境だからこそ割合も多いことがわかりました。神秘的、かっこいいイメージの「絶対音感」。習得できるのならぜひ身につけたい能力ですね。