現役ピアノ講師が教える!本物の絶対音感がある人の特徴
絶対音感とは、他の音と比べなくても、突然きこえた音の音名が分かる能力のことです。
絶対音感を持っている人は0.2~0.5%と、非常にまれな能力であるがゆえ、神秘的なものとして捉えられている時期もありました。今では年齢の小さいうちに適切なトレーニングをおこなうことによって、誰もが習得できる能力であることが分かっています。
絶対音感ってなに?
絶対音感とは他の音とくらべなくても、突然きこえた音の高さが、「あの音はソ#だ」などと、分かる能力のことです。高い音から低い音まで、ピアノの鍵盤すべてが分かるレベルが絶対音感です。絶対音感では、チャイムの音や機械のモーター音のような生活音でも、音名で答えることができます。
絶対音感と相対音感の違い
絶対音感とは、基準音なしに音が分かる能力、相対音感とは、基準音をもとに音を判断する能力です。相対音感の「相対」とは、「比べる」という意味です。前音との幅を見積もって、音をあてること、音階の枠組みを利用して、音をあてること等は、相対音感です。 絶対音感と相対音感は、音の判断の仕方がまったく違います。どちらが優れているといった話ではなくどちらも音楽活動をおこなう上で、重要な能力です。
絶対音感のメリット
聞こえた音が音名で分かるので、耳できいただけの音楽を、楽器で演奏したり、楽譜に書きおこしたりすることができます。さらには耳が良いので、演奏にたいへん有利です。
なぜ絶対音感がつくの?
絶対音感がつくのはトレーニングをしたからです。残念ながら絶対音感は放っておいてはほぼつきません。(全体の1%以下)習得には適切なトレーニングを6歳半までに(4歳9ヶ月以下がベスト)行うことで身につける事ができます。
絶対音感って習得できるの?
適切にトレーニングを行うことで、絶対音感はほぼ確実に身につけることができる能力です。上記で述べたように、適応年齢までに正しいトレーニングを受けることです。
絶対音感は長い間、そのめずらしさと、身につける方法が分からないという神秘性から、注目を集めてきました。しかし、トレーニングで習得可能とは驚きですね。
絶対音感を持っている人の特徴
「絶対音感」世間でも耳にする言葉になりました。しかし、絶対音感の本当の意味(定義)が少々違っているな、と思う時があります。本物の絶対音感をもっている人の見分け方をご紹介します。
絶対音感を持っている人の調べ方
- 様々な音を1音、1音、その都度、回答を言わずしても当てられるか?
1音ごとに回答を伝えると、次第に前音との隔たりを考慮し相対的な回答になってしまいます。
- 音域の狭い出題にしか正解できない
例えば高さが違う2つの「ド」の音、「高さ」と言う概念で考えれば当然違う音であるにもかかわらず、当たり前のようにどちらも同じ「ド」の音に分類されます。これを「オクターブ等価」と言います。しかし絶対音感の次元では「ド」には「ド」、「レ」には「レ」の「固有の音の響き」を感じ取り、高さが違う「ド」の音でもこの響きが同じであれば同じ「ド」の音に聴くことができます。この固有の音の響きを「クロマ」と言い絶対音感をもつ人は「クロマ」を聴き取っています。
- 黒鍵(シャープ、フラット)の音はわからない
白鍵だけの出題だと、ハ長調に聴こえてくる恐れがあります。したがって調性感を感じ、無意識に相対的に聴き取ってしまいます。
なんちゃって絶対音感の人もいる
上記のことから、絶対音感をもっていると自称する人でも、それは相対音感では?とか、聴き取り能力が少し高いだけでは?と思うことがあります。
これでは絶対音感ではない
よく耳コピ出来る、聴いたフレーズを再現して弾く(演奏する)ことができるなどというと「絶対音感をもっているんだな」と思いがちですが、以上のことから必ずしも「絶対音感」のもち主ではないということです。
絶対音感は便利、不便?
答えは「便利」です。しかし自然に身につけた絶対音感は、自分の家のピアノの高さのコピーですから、“点”の絶対音感になってしまう傾向が高く、音の幅にあそびがありません。したがって、音のズレに対応できず「絶対音感があると、かえって不便だ」という人がいます。それは自然に身につけた絶対音感ゆえの不便さです。
トレーニングによって絶対音感を身につける場合には、“面”の絶対音感を目指すことができます。「このへんからこのへんをドとみなす」と、幅を持たせるため、多少の音の違いを許容できる完璧な絶対音感を手に入れることができます。
絶対音感の定義は、突然きこえた楽器の音が音名で分かることです。ですので、音楽の流れの中ではなく、突然きこえた音が分かることが条件です。ちなみに楽器以外の音が分かることは、絶対音感の必要条件ではありません。
おおよそとして、ピアノの鍵盤にある88音が、すべて分かるレベルが絶対音感です。
したがって、たとえば白鍵の音(シャープやフラットのつかないドレミファソラシ)しか分からないという状態は、絶対音感とは呼べません。
そもそも絶対音感は必要?
絶対音感で出来ること
絶対音感をつけると、外国語を習得するのに有利と言われています。ただし、本来、音楽を聴くことと、言葉を聞くことは、情報の処理としては、別チャンネルであるとする考え方が、一般的です。しかし、絶対音感を身につけた人は、音楽にかぎらず、音全体に興味を示す傾向があります。そのため、絶対音感はそもそも、音楽の中の音の高さが分かる能力に過ぎないはずなのに、 音楽以外の音(生活音など)の高さが分かるようになったり、音色の違いや、響きの違いに敏感になったりします。そうしたことが、外国語の習得に間接的に有利に働くと考えられます。
絶対音感がないとすごい音楽家にはなれない?
そんなことはありません。実際全ての音楽家が絶対音感があるわけではありませんし、対比する相対音感も大切な音感才能の1つです。ただ、音楽家は聴き取る力が優れていことが圧倒的に多いです。
ピアノ講師に絶対音感はあるか?
前述通り、全てのピアノ講師に絶対音感があるわけではありません。私ももっていません。しかし、聴こうとする力は職業柄高いといえます。
絶対音感に限らず、人間の聴覚能力を感じますね。
絶対音感は習うことができる
いかがですか?絶対音感を身につけたい方、そうでない方いるのではないでしょうか。続いては、身につけるための適切な方法と時期、期間などをお話します。
適切なスタートのタイミング
人は誰でも絶対音感を身につける可能性を持っていますが、成長とともに、その可能性を失います。人はありあまる可能性を持って生まれながら、一定期間、それを使う環境にないと、「それは不要な能力である」と判断し、その能力の発達を止めてしまいます。より必要な能力を伸ばすための仕組みです。身につけられる時期が限られている能力は、絶対音感以外にもあります。母国語の獲得も、その1つです。年齢が高くなってから学んだ言語は、母国語のようにはなりません。これは聴覚神経の発達に関連すると考えられています。
幼少期からの取り組み
上記のことから、絶対音感を身につけられるのは、6歳半までです。その年齢を過ぎると、トレーニングをしても絶対音感に到達することはありません。
正しい習得方法
絶対音感は適応年齢内に、適切にトレーニングをおこなえば、ほぼ確実に身につけることができる能力です。この適切なトレーニングがポイントです。適切ではないと、前述したように、凸凹とした聴き取りが身についてしまい、かえって音が窮屈になりかねません。
身に付くまでの時間
早いお子さんでは3ヶ月から半年で習得する方もいます。平均すると1年半から2年以内に習得することができます。
習得には一定の制限がある絶対音感。しかし、才能を引き出す期間のリミットがあるなら試してみたいとも思いますよね。
本物の絶対音感がある人の特徴のまとめ
音楽活動はもちろん、語学、聴き取る力、感じる力に大きな力を発揮する絶対音感。本物の絶対音感がある方はどのような特徴があったのか、専門家からみた絶対音感の意見を解説します。
見分け方のまとめ
- 比べずとも、音がわかる
- 音の高さに関係なく音特有の響きで捉えることができる
- 黒鍵(シャープ、フラット)の音も聴き取れる
絶対音感をどう捉えるか
絶対音感を身につけるトレーニング法が発見されたのは、1970年代です。それ以前から、絶対音感は存在しましたが、それらの絶対音感は、自然に身についた絶対音感だったのです。絶対音感は、長い間、そのめずらしさと、身につける方法が分からないという神秘性から、注目を集めてきました。
当時のデータだと絶対音感を持つ人は、非常に低く見積もられ、20万人に一人とも言われてきました。それが今では適切なトレーニングによりほぼ確実に身につけることができます。人生の可能性を伸ばす手立てになるなら取り入れてみたいですよね。
絶対音感が身に付けば一生のギフトになります
子供がどんな人生を歩むかは未来のことですが、その人生に何か役に立つかもしれない能力を備えてあげることは、親から子へのギフトになるのではないでしょうか。
例えば味に敏感な料理人は、おいしい料理を作ることができます。それと同じで、良い耳を持つことは、良い音楽を作りだす可能性を高める最強の手段といえます。
人間の持っている無限の才能を上手く利用しながら今後の人生を豊かにできることが、最大の喜びではないでしょうか。