ピアノペダルの意味と、正しい使い方

ピアノペダルの意味と、正しい使い方を解説した画像

ピアノのペダルの役割を知っていますか?普段ピアノを弾く方でも、すべてのペダルについて働きや使い方まではよく知らない、という方が多いのではないでしょうか。今回はそんなペダルの役割と正しい使い方についてご紹介します。

平田先生

ペダルには音を楽しむ効果があります。詳しく解説しますね!

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ピアノペダルの意味

ピアノのペダルには、それぞれ異なる効果と目的があります。ペダルは、演奏の表現力を高めるための重要な要素であり、音色や音の持続、アーティキュレーションなどをコントロールする役割を果たしています。一般的なピアノには3つのペダルがあり、以下のようにそれぞれ異なる機能があります。

ダンパーペダル(Sustain Pedal / Damper Pedal)

右側についているペダルで最もよく使われるペダルです。このペダルを踏むと全ての弦にかかっているダンパーが持ち上がり、弦が鳴り続けます。これにより、音が長く持続し、演奏に深みや響きを加えることができます。また、複数の音を同時に持続させたり、コードを演奏する際に滑らかにつなげる効果もあります。メロディーをより流れるように聴かせたい時や、音の響きを長く保ちたい時に使用されます。

ソステヌートペダル(Sostenuto Pedal)

中央についているペダルでダンパーペダルと似ていますが、このペダルは特定の音や和音だけを持続させる効果があります。ペダルを踏んだ時に押さえていた音だけが持続し、その後に弾いた音は通常通りにダンパーがかかって消えます。これにより、特定の音を響かせながら他の音を演奏することが可能です。一部の音を長く響かせたい時や、特殊な音響効果を狙いたい時に使用されます。クラシック音楽の中で特に重要な役割を果たしますが、現代の楽曲でも使われることがあります。

ウナコルダペダル(Soft Pedal / Una Corda Pedal)

左側についているペダルです。ウナコルダペダルを踏むと、ハンマーが弦に当たる位置がわずかに変わり、通常は複数の弦に当たるハンマーが1本の弦だけに当たる(「ウナコルダ」はイタリア語で「1本の弦」の意味)ため、音が柔らかく、静かになります。これは音量を抑えるだけでなく、音色自体を微妙に変化させる効果もあります。柔らかい音や繊細な表現が求められる場面で使われます。特にロマン派の音楽や、静かなパッセージで効果的です。

ペダルを使う際のポイント

ペダルを適切に使うことで、演奏は一層豊かになり、感情やニュアンスをより細かく表現できます。しかし、ペダルの乱用は音が混濁したり、逆に不自然な印象を与えることもあるため、効果的に使うことが大切です。

ペダルの使い方は、曲のスタイルや作曲家の意図、さらにはピアニスト自身の解釈によって変わるため、上手に使うには経験と練習が必要です。

小さなお子さんには補助ペダルを

小さなお子さんがピアノを弾くときに「補助ペダル」を使うことは非常に有効です。ピアノのペダルは大人向けの高さに設計されているため、小さな子どもが足を届かせて踏むことは難しいことが多いです。補助ペダルは、この問題を解決するための便利なアイテムです。

ペダルに足が届くようになる

子どもの足が短くても、補助ペダルを使うことで無理なくペダルに足が届きます。これにより、ペダルを使った表現を早くから練習することができます。

正しい姿勢で演奏できる

子どもが足を届かせようと無理な姿勢になるのを防ぎ、体のバランスを保ったまま演奏することが可能です。これにより、演奏中の疲労や体への負担が軽減されます。

音楽表現の幅が広がる

ペダルを使うことで音の響きや持続をコントロールできるため、子どもも表現力豊かな演奏ができるようになります。特にダンパーペダル(右ペダル)は音楽的な流れや雰囲気を作る上で重要な役割を果たします。

ペダルの早期学習が可能

早い段階でペダルの使い方を学ぶことで、後々の演奏においても有利です。小さい頃からペダルを自然に使いこなせるようになると、より高度な曲にも対応できるようになります。

補助ペダルの種類

補助ペダルには、ピアノのペダル部分に取り付けるタイプや、足元に置くだけのタイプがあります。足元に置くタイプは高さ調節ができるものが多く、子どもの成長に合わせて使いやすくなっています。

おすすめの使用時期

一般的に、5歳〜7歳頃の子どもに補助ペダルが使われることが多いです。この時期になると、基礎的な指使いや簡単な曲をマスターし始めるため、ペダルを使ってより豊かな音楽表現を学び始めるのに適しています。

補助ペダルを使用することで、子どもが無理なくペダルを使えるようになり、音楽表現の幅が広がります。正しい姿勢で演奏できるようになるので、練習の効率も上がり、早い段階でペダルの技術を習得できるのも大きなメリットです。

ペダルの正しい使い方

ピアノのペダルは、演奏に深みや表現力を加えるための重要な要素です。正しいペダルの使い方をマスターすると、曲の雰囲気や音色を劇的に変えることができます。しかし、間違った使い方をすると音が濁ったり、音楽が不自然に聞こえてしまうこともあるため、適切なテクニックが必要です。

ダンパーペダルの基本的な使い方

ダンパーペダルを踏むと、音が長く持続し、他の音と共に響きます。これによって、滑らかで豊かな音を作り出すことができます。通常、和音や音の変わり目で踏むのが基本です。ペダルは新しい音を弾いた後に踏むことで、前の音が自然に切れ、新しい音だけが響くようにします。ペダルを離すタイミングも重要です。和音が変わる前や、音をきれいに切りたい時には、ペダルを速やかに離します。これにより、前の和音や音が濁るのを防ぐことができます。ペダルを踏みっぱなしにすると音が濁ってしまうので、曲のテンポやリズムに合わせてまめにペダルを上げ下げすることが重要です。特に速いパッセージでは、ペダルを使いすぎると不明瞭になるので注意が必要です。

ソステヌートペダルの基本的な使い方

特定の音だけを保持し、他の音には影響を与えないペダルです。現代のピアノでは、中間のペダルがこれに該当します。ペダルを踏むタイミングで押さえている音だけを保持することができます。そのため、ベース音や特定の音を持続させながら、右手でメロディや他の音を弾く場合に使用します。ジャズピアノなどでは使うことがありますが、クラシックピアノではあまり使う場面はありません。

ウナコルダペダルの基本的な使い方

音を柔らかくし、音量を抑える効果があります。特に左ペダルを踏むと、ハンマーが弦に対して少しだけずれ、一部の弦だけを叩くことで音色が変わります。主に、曲の中で柔らかい音やピアニッシモ(非常に静かな音)が求められる場面で使用されます。ロマンチックな曲やバラードで繊細な表現をする際に役立ちます。ウナコルダペダルは単に音量を下げるだけでなく、音質にも変化を与えるため、適切な場面で使うことが重要です。曲の意図に合わない場面で使用すると、かえって音楽が不自然になることもあります。

ペダルは機能を理解した上で、基本的な動作の練習をすることが大切です。

ペダルの練習方法

ピアノペダルの効果的な練習方法について、以下に詳しく説明します。ペダルの適切な使用は、演奏における表現力や音の豊かさを大きく向上させる重要な要素です。

基本的なペダルの踏み方を覚える

ペダルをゆっくりと踏み込み、音が持続するようにします。リリース時もゆっくりと戻すことで、音が自然に消えるようにします。音の始まりと終わりに合わせてペダルを踏むタイミングを練習します。音が切れる瞬間にペダルを戻すことで、クリアな音を保ちます。

手と足、別々の練習する

指の動きとペダルの動きを別々に練習し、それぞれの動きを確実にマスターします。その後、両者を組み合わせてスムーズに動かせるようにします。

曲のフレーズに合わせたペダルの練習

短いフレーズや単音でペダルを使い、音がクリアに切れるように練習します。これにより、過度なペダルの使用を避け、音の混濁を防ぎます。

ペダルのクリアさを保つ練習

ペダルを踏んだ後、新たな音を弾く際にはペダルを素早く戻し、音が重ならないように意識します。これにより、音の分離が明確になります。

ペダルの使い方をマスターすることは、ピアノ演奏における表現力を大きく高める鍵です。基本をしっかりと理解し、段階的に練習を重ねることで、自然で効果的なペダル操作が身につきます。根気強く取り組み、楽しみながら練習を続けてください。

まとめ

ピアノペダルの意味と練習の仕方などを詳しくお話ししてきました。簡単にまとめてみます。

ピアノペダルの意味

現在のピアノには3本のペダルがついており、1つ1つに役割があります。右側からダンパーペダル(Sustain Pedal / Damper Pedal)、真ん中はソステヌートペダル(Sostenuto Pedal)、左側はウナコルダペダル(Soft Pedal / Una Corda Pedal)と言い、それぞれに作用があります。ダンパーペダルは、音が解放され伸びる効果、真ん中ソステヌートペダルは特定の音だけ伸ばすことができるペダルです。左側のウナコルダペダルは、弦を1本減らし、消音効果が出るペダルです。

ペダルの正しい使い方

ペダルはその効果、意味を知った上で効果的に使うことが大切です。正しいペダルの使い方をマスターすることで、曲の雰囲気や音色を劇的に変えることができます。しかし、間違った使い方をすると音が濁ったり、音楽が不自然に聞こえてしまうこともあるため、適切なテクニックが必要です。

ペダルの練習方法

手と足を連動させるのは、始めは大変かもしれません。始めは別々の練習も良いでしょう。また、とにかく音を聴いて濁らないように注意することも大切です。フレーズごとに踏み替えてみるなどして、音を聴いて練習しましょう。

ピアノペダルは、ピアノの演奏にとても有効な道具です。意味と、正しい使い方をして、演奏がもっと充実したものになることを願っています。

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この記事を監修した専門家

平田みどりのアバター 平田みどり 絶対音感が身に付くピアノレッスン講師

ピアノ・リトミック教室HappyMusicのオーナー講師。4歳からピアノを始め、現役奏者の頃は年に100回近くのピアノ演奏、楽器店のミニコンサートへの出演などを行っておりました。
現在は千葉県柏市・我孫子市にあるHappy musicのオーナー講師として、リトミック、ピアノ講師として活動中。
幼稚園教諭免許・保育士免許・日本ジャックダルクローズ協会会員・リトミック認定講師資格・ベビーリズムマッサージ資格・ヤマハ指導グレード資格取得。

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